だから、ここに社運を賭けるのは極端すぎるが、かといって、その選択肢を捨ててしまうのは会社の未来を狭めることになる。そういう場合はリアルオプション(※6)の発想で取り組んでおきたい。
リアルオプション(※6)
一発当てれば大儲けできるが、外れたときには投資がすべて無駄になりかねないビジネスを目の前にしたとき、リスクを取って果敢にチャレンジするか、それとも見送るか。その意思決定にヒントを与えてくれるのがリアルオプションだ。
オプションというのは「選択権」のこと。そしてオプションの理論は金融分野で発展した。例えば「現在の為替が1ドル90円だとして、1年後に1ドル88円で買い取る権利はいくらか?」ということを計算し、買う権利(コールオプション)、売る権利(プットオプション)が取引されている。
事業におけるリアルオプションは、新しい事業へのトライアルをしたりしながら参入の機会をうかがうことを意味する。つまり、大きな損失を避けようとして、はじめから投資をやめてしまうのではなく、儲けるチャンスを確保する。名前は難しいが、基本的な考え方はシンプルだ。
ビジネスはコントロールできない不確定要素だらけ。できることを遂行し、あとは運を天に任せる。先の読めない時代の戦略論は、こうした基本姿勢が大事だと信じている。
(次回へ続く)

(斎藤広達 著、1600円+税)
効率アップ、そして創造を目指すビジネスパーソンのハンドブック
ロジカルシンキングの基本から、最先端のキーワードまで、考える仕事の基本ツールを網羅。
頭の良い人が使いこなしている思考法は、ようするに、こういうこと!
・10倍に成長するビジネスを見分ける基準/ ・リスク限定で大儲けを狙う/ ・弱みを強みに、脅威を機会に、ひっくり返す/ ・「儲からない業界」の企業はどうするか?/ ・人を魅了するストーリーの基本形/ ・ブームが起きてブームが終わる理由/ ・断片的な事象から「仮の答え」を出す/ ・ゼロベースで考える武器/ ・論理的に議論するときの基本3要素/ ・不確実性をマネジメントする/ ・「ひらめき」を生むための基本動作/ ・判断が歪んでしまう要因いろいろ/ ・儲かりやすい構造になっているか?/ ・そのビジネスに投資する価値はあるか? ……など、全64項目を収録
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