だから、ここに社運を賭けるのは極端すぎるが、かといって、その選択肢を捨ててしまうのは会社の未来を狭めることになる。そういう場合はリアルオプション(※6)の発想で取り組んでおきたい。

リアルオプション(※6)

 一発当てれば大儲けできるが、外れたときには投資がすべて無駄になりかねないビジネスを目の前にしたとき、リスクを取って果敢にチャレンジするか、それとも見送るか。その意思決定にヒントを与えてくれるのがリアルオプションだ。

 オプションというのは「選択権」のこと。そしてオプションの理論は金融分野で発展した。例えば「現在の為替が1ドル90円だとして、1年後に1ドル88円で買い取る権利はいくらか?」ということを計算し、買う権利(コールオプション)、売る権利(プットオプション)が取引されている。

 事業におけるリアルオプションは、新しい事業へのトライアルをしたりしながら参入の機会をうかがうことを意味する。つまり、大きな損失を避けようとして、はじめから投資をやめてしまうのではなく、儲けるチャンスを確保する。名前は難しいが、基本的な考え方はシンプルだ。

 ビジネスはコントロールできない不確定要素だらけ。できることを遂行し、あとは運を天に任せる。先の読めない時代の戦略論は、こうした基本姿勢が大事だと信じている。

(次回へ続く)

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