プロスペクト理論と学習効果による中毒性

 スキルアップを実感できるとゲームの虜になる。スプラトゥーンはこの基本もちゃんと押さえている。バトルごとに点数は加算され、ランク1から50までステップアップする仕組みだ。

 筆者もなんとかランク40ぐらいまで辿り着いたが、ここまで来るのにどれだけの時間を浪費(?)したか……。ランク50まで登り詰める道のりは長い。それがまた楽しさを醸成するし、ランクが上がるたびスプラトゥーン力の向上を実感できる。

 ゲームは勝ったり、負けたり。上位ランク者と対戦してボコボコにされると、強烈な怒りと悔しさを感じる。キル0デス8(1ゲーム中に8回キルされ、自分は相手チームを誰もキルできなかった)なんてことも起こる。勝った時は一瞬スカッっと気持ちが良いが、負けると結構ネガティブな感情を引きずる。これがいわゆるプロスペクト理論(※4)。ビジネス意思決定論で紹介され、投資行動などに応用されている。

プロスペクト理論(※4)

 人は、自分が得をすることより、自分が損をすることに過剰反応する。1000円もらうのと、1000円失うのでは、1000円失うほうが、心が受けるインパクトは大きい。

 損失に対して無意識に過剰反応する傾向は、原始的な人類が身につけた生きる知恵とも言える。命に関わる危険は深く記憶に刻み込んでおく必要があったのだろう。生存するための反射だ。

 心理学や経済学では、こうした傾向を説明するプロスペクト理論が使われる。その理論をグラフに表すと上の図のようになる。グラフをよく見ると、「プロスペクト曲線の崖」とも呼べるエリアがあることに気がつく。損失側に入ってすぐの領域で、ネガティブな反応が大きくなっている。小さなマイナスでも心に与える影響は甚大、ということだ。

 しかし、プロスペクト理論で解説されるネガティブなリアクションは、モチベーションの源泉になることもある。悪いことばかりでもない。

 例えば、猛烈にうまいプレーヤーが、サッカーのフェイントのごとく体を左右に振り攻撃をしてくる。相手を見失ったと思ったらアッという間にキルされる。3分間のゲームで何度も同じ相手から同じパターンでキルされ続けると、その敗北経験は脳にインプットされ、今度は自分がその技を試したくなる。これが上達のパターンだ。