仮眠は大きく4種類に分けられる
「マイクロ・ナップ、ミニ・ナップ、パワー・ナップ、ホリデー・ナップ。仮眠には大きく4種類あります。特にパワー・ナップを基本にし、状況に応じて他の仮眠を組み合わせるといいでしょう」と話すのは、雨晴クリニック(富山県高岡市)の坪田聡副院長だ。
基本となるパワー・ナップとは20分程度の昼寝のこと。昼休みが1時間あれば、20分の時間を作るのはそれほど難しくない。ちなみに坪田副院長は「毎日やっている」という。体内時計によって、昼食の後は最も眠気が強くなる時間帯。このタイミングでうまく仮眠を取ると、その後の仕事がはかどるようになる。
実際、20分の仮眠を取った場合の作業効率を調べた実験がある。10人の若者に1時間のパソコン作業を行わせ、20分間の休憩を挟み、再び1時間の作業をさせた。仮眠を取らずに休憩した場合は、休憩後の作業でも時間が経つにつれて眠気や疲労度が高まった。これに対して、休憩時間に仮眠を取ると、作業時間が経過しても眠気が起こりにくくなり、疲れを感じず、作業意欲が衰えないという結果となった(下グラフ)。「同じくNASA(米航空宇宙局)が宇宙飛行士に行った実験でも、平均26分の仮眠によって認知能力が34%、注意力が54%アップした」(坪田副院長)という。
リクライニングは120度まで
では、具体的に仮眠の取り方を説明しよう。
場所は自分のデスク、空いている会議室、カフェ、トイレ、車の中、電車など。騒音が少なくて眠れそうな場所ならどこでもいい。ネクタイやベルトなど、体を締め付けるものはゆるめてリラックスできるようにする。
ポイントは姿勢と時間だ。
横になると眠りが深くなり、なかなか起きられないし、しっかり覚醒するまでに時間がかかる。そのため、基本はイスやソファに座った姿勢。そのまま背もたれに体重をかけるか、机に突っ伏す姿勢を取ろう。「車の中で寝るときは、リクライニングを120度までにしてください」と坪田副院長はアドバイスする。深く倒し過ぎると眠りが深くなりやすい。
時間は20分が目安だ。30分以上眠ると、どうしても睡眠が深くなってしまう。「仮眠の場合は起きてすぐに仕事をするのが前提ですから、深く眠ってしまってはいけないんです」と坪田副院長。「眠る」というよりも「ウトウト居眠りする」くらいの感覚でいい。
20分で起きることを強く意識して、念のためアラームもセットしておくといいだろう。仮眠前にコーヒーを飲むと、カフェインの作用で寝覚めが良くなる。
時間が取れなければ10分でもいい。これがミニ・ナップだ。「広島大学で行われた実験でも、9分以上の仮眠によって眠気や疲労、作業中の居眠りが減り、作業成績も良くなることが確認されています」と坪田副院長(Sleep. 2005 Jul;28(7):829-36)。ちなみに「米国大統領だった故J・F・ケネディは毎日数回のミニ・ナップを習慣にしていた」(坪田副院長)という。
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