5. 昼間に疲れをためないコツは?

 夜の睡眠で疲れを取るとともに、日中はなるべく疲れないようにすることも大切だ。

 最近は健康のために運動を心がけている人も多いが、梶本さんは「やり過ぎ」を心配する。健康のために運動しているのに、それで体を壊したら何にもならない。

 「特に自律神経が目覚めていない朝に運動するのは最悪です。朝に運動する高齢者は、心筋梗塞や脳卒中を起こす確率が高いことが分かっています。仕事で疲れた日は、夜に運動するのもやめたほうがいい。疲れている自律神経に、さらに負担をかけることになります」(梶本さん)

 仕事が好きな人は、疲れていてもそれを感じないことが多い。「過労死を避けるには、飽きてくる、パフォーマンスが落ちる、眠くなる、という疲労のサインを見逃さないように」と梶本さんは注意する。

 いつも駅では階段を使うのに、今日はなぜかエスカレーターに乗りたい――。そんな気持ちは潜在的な疲労の表れかもしれない。体の声に注意深く耳を傾けて、くれぐれも無理しないようにしよう。

 食事で疲れを取るには、鶏の胸肉、またはマグロやカツオなど赤身の魚を積極的に食べるといい。イミダペプチドという疲れを取る成分がたっぷり含まれている。

 産官学連携「疲労定量化及び抗疲労食薬開発プロジェクト」で23種類の成分を調べた結果、主観だけでなく、血液や尿中の客観的マーカーで疲労軽減効果が認められた唯一の成分がイミダペプチド。梶本さんによると、「鶏の胸肉なら1日に100グラム食べれば効果が期待できる」という。

梶本修身(かじもと おさみ)さん
東京疲労・睡眠クリニック 院長、大阪市立大学大学院医学研究科疲労医学講座 特任教授
梶本修身(かじもと おさみ)さん 1962年生まれ。大阪大学大学院医学研究科修了。2003年より産官学連携「疲労定量化及び抗疲労食薬開発プロジェクト」統括責任者。2015年に東京疲労・睡眠クリニックを開設。近著に『なぜあなたの疲れはとれないのか?――最新の疲労医学でわかるすっきり習慣36』(ダイヤモンド社)、『すべての疲労は脳が原因3〈仕事編〉』(集英社新書)など。
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