2013年には、米国睡眠財団が約1500人を「運動しない」「低強度の運動をする」「中強度の運動をする」「高強度の運動をする」の4グループに分け、運動と睡眠について調査している。

 睡眠時間は4グループともあまり変わらなかったが、大きく違ったのは満足度。平日の睡眠時間が「足りている」と答えたのは「運動しない」人たちが53%だったのに対し、「運動する」人たちは70%。「よく眠れている」と答えたのは「運動しない」が56%に対し、「低強度」76%、「中強度」77%、「高強度」83%と、ハードな運動をしている人ほど高くなっていた。

 運動習慣を持つことで、睡眠の質が改善されるのは間違いないようだ。

 ただし、多忙などの理由から睡眠時間を確保できない人の場合は、注意が必要だ。「現代のビジネスパーソンは圧倒的に睡眠不足。睡眠時間が5時間台の人も多く、ほとんどの人は7時間も眠れない。そのような人がいくら運動しても、睡眠不足は補えません。運動の前に、まずは十分な睡眠時間を確保することが前提です」(内田院長)。

 仕事が忙しくて毎日5時間前後しか眠れないような人は、運動する時間があったら睡眠時間に回したほうがいい。言われてみれば納得だ。まずは十分な睡眠時間を確保しよう。

うつ傾向の人は筋トレと有酸素運動の両方を

 睡眠不足を感じているのに、ベッドに入ってもなかなか眠れない。そういう人は“うつ病”予備群なのかもしれない。

 睡眠時無呼吸症候群(SAS)など、睡眠障害をもたらす病気はいろいろあるが、中でも代表的なものがうつ病だ。「うつ病患者の多くが不眠に悩んでおり、不眠はうつ病の症状の一つともされる。逆に不眠に悩んでいる人は、うつ病の発症リスクが高いことも分かっている」(内田院長)。

 うつ病で眠れなくなる理由の一つは、慢性的なストレスにさらされることで、ベッドに入っても交感神経の緊張が取れないことだ。睡眠不足によってさらに脳や神経にダメージがたまり、悪循環に陥っていく。

 軽度のうつ病には運動が効く。無酸素運動(ダッシュや筋力トレーニング)と有酸素運動、どちらにも効果があるが、特に無酸素運動と有酸素運動を両方行うと、明らかに気分の改善度が高くなっていた(Sports Med. 2009;39(6):491-511)。「うつ傾向があって眠れない人には効果があるはず」と内田院長は話す。