生活リズムが大きく変わる3交代勤務の場合

工場勤務者のDさんは3交代制のシフトに対応するために、眠る時間帯が週のなかで不規則になっていた。(©auremar-123RF)
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 工場勤務のDさんは3交代制で働いており、日によって生活サイクルが異なる

 「朝勤」の日は6時半から14時まで働き、22時から0時に就寝して5時に起床。休日は9時頃まで眠る。「昼勤」の日は14時から22時まで働き、1時から2時に就寝して11時頃まで眠る。「夜勤」の日は22時から6時半まで働き、朝の9時から12時(下図では11時とした)に就寝して18時頃まで眠る。同じシフトを3日続けた後、1日休みを入れて次のシフトに移るというリズムだ。

 「夜勤のとき眠気がひどく、朝勤の初日がつらい、というのがDさんの悩み。そこで、以下のことを実行してもらいました」(菅原さん)

3交代制工場勤務のDさんが取り組んだ主な睡眠対策
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シフトワークによって起床時刻がずれる状況を改善するため、昼勤の際には朝勤時に起床していた5時から3時間以内に、夜勤の場合は昼勤の起床時刻の11時から3時間以内にいったん起きて朝日を浴びたうえで、睡眠時間をとるため二度寝を行った。また、朝勤、昼勤の日は2~5時を睡眠時間帯として固定し(アンカースリープという)、朝勤の日は就業後に工場の周りを歩く運動を行うことで、生活リズムを整えた。

1. 睡眠リズムの調整

●夜勤最終日(朝の6時半まで働いた後)→ 夕方まで眠らないようにして、夜の早い時間帯から朝まで一気に眠る。

●朝勤から昼勤に変わるとき→ 朝勤の起床時刻(5時)から3時間以内(8時まで)にいったん起きて朝日を浴びてから二度寝する。どうしてもつらい場合、日中の仮眠で補う。

●昼勤から夜勤に変わるとき→ 夜勤の初日は昼勤のときと同じくらいの時刻(昼前)にいったん起きて光を浴びる。

●朝勤と休日→ 睡眠不足を補うため、できるだけ早くベッドに入る。

●深夜にはしっかり眠る→ 夜勤以外の日は体温が下がる時間帯(2~5時頃)の睡眠を基本に、できるだけその前後の睡眠を増やすようにする。

2. 朝勤の日は工場の周りを2~3周歩いてから帰る

 体調を崩さないためには、体温が下がる夜の時間帯にきちんと眠ってリズムがずれないようにすることが大切。それには体温が1日で最も高い夕方に体を動かし、さらに体温を上げておくと、眠るときスムーズに体温が下がりやすくなる。

3. 光に関する工夫

 3交代勤務の場合、明るい時間帯に眠らなくてはいけないことも少なくない。深い睡眠を取るためには、昼間でも「人工的な夜」を作るのが有効だ。

 手っ取り早いのはアイマスク。光が差し込む場所でも、脳が関知する光は目の網膜から入る光だけ。アイマスクをしていれば、脳にとっては夜と変わらない。アイマスクをしたくない人は、とにかく寝室を暗くすること。5分や10分でもいいので就寝前から寝室を暗くして過ごすと、脳が「夜」と感じやすくなる。

 逆に暗い時間帯に起きるときは、「人工的な朝」を作るといい。

 「最近は高照度のライトも市販されていて、“光目覚まし”などの言葉で検索すると多くの商品がヒットします。通常のデスクライトでも、近くに行けば照度が上がる。1分ほど光を浴びると、すっきり目が覚める人が多いようです」(菅原さん)

菅原洋平(すがわら ようへい)さん
ユークロニア社長、作業療法士、睡眠健康指導士
菅原洋平(すがわら ようへい)さん 1978年生まれ。国際医療福祉大学卒業。国立病院機構静岡てんかん・神経医療センター勤務などを経て、2012年より現職。様々な企業で「睡眠マネジメント研修」を行いながら、ベスリクリニック(東京都千代田区)で「睡眠外来」を担当。著書に『あなたの人生を変える睡眠の法則』(自由国民社)、『「寝たりない」がなくなる本』(王様文庫)など。