週休2日制が「ソーシャル・ジェットラグ」を招く

 多くのビジネスパーソンは週休2日制が一般的だ。週末に2日間休めるのはありがたいことだが、一方で「ソーシャル・ジェットラグ」(社会的時差ボケ)になってしまう人も増えているという。

 週末に2日間続けて寝坊すると、せっかく平日に朝型になっていた体内時計が夜型にずれてしまう。その結果、時差ボケの状態となり、特に月曜日の朝がつらくなる。33人の高校生を対象にした実験では、土日の2日間で起床時刻を合計3時間遅らせるとメラトニン分泌開始時刻が45分遅くなった、つまり体内時計が遅れたという報告もある(Chronobiol Int. 2010 Aug;27(7):1469-92)。

週休2日制が招く「ソーシャル・ジェットラグ」
週休2日制が招く「ソーシャル・ジェットラグ」
週末に2日間続けて寝坊すると、せっかく平日に朝型になっていた体内時計が夜型にずれてしまう。その結果、時差ボケの状態となり、特に月曜日の朝がつらくなる。(内山さんの資料を 基に編集部で作成)
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 「12時に就寝して6時に起きていた人の体内時計が例えば1時間遅れると、12時になっても身体は11時の状態で眠くならないし、6時の起床時には身体はまだ5時の状態だから起きるのもつらくなる。これがブルーマンデーの一因にもなっています」(内山さん)

 ビジネスパーソンは平日にやることがたくさんあり、そんなに早くベッドに入れるわけではない。1日30分程度でも、少しずつ睡眠不足がたまっていく。これがいわゆる睡眠負債だ。

 その睡眠負債を返済するには、週末の寝坊も悪くない。とりあえず睡眠不足だけは解消する。負債を抱えたまま翌週に突入し、さらに負債を増やすよりはマシだろう。問題は平日に整えてきた体内時計が乱れてしまうことなのだ。

 「週の後半がつらい場合は睡眠不足の累積。逆に前半がつらい場合はソーシャル・ジェットラグの可能性が高いでしょう。年を取ると長時間眠れなくなるので週末に寝坊しても睡眠不足を解消しにくくなりますが、若者は長時間眠ることができる。その代わり、ソーシャル・ジェットラグを起こしやすくなります」(内山さん)

 不規則な生活を送らざるを得ないシフトワーク(交代勤務)を続けていると、がんや生活習慣病のリスクが高くなることが分かっている。週末の寝坊によるソーシャル・ジェットラグも単に月曜日がつらいだけではなく、健康への影響があるという。例えば、ソーシャル・ジェットラグが進んでいる人はBMI(身長と体重の比率から肥満度を見た体格指数)が高い。つまり、太りやすいことが確認されている(Curt Biol. 2012 May;22(10):939-43)。

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