背筋を伸ばしお腹に力を入れて持ち上げる

 ぎっくり腰を予防するためには、腹筋をしっかり意識し、体幹の筋肉をバランスよく使った動作を心がけることが大切だ。例えば、ぎっくり腰を起こす原因で最も多いのは、年末の大掃除などで重い物を持ち上げようとする動作だ。下図のなかで正しい持ち上げ方はどれだろうか。

どれが正しい持ち上げ方だろうか?
どれが正しい持ち上げ方だろうか?
Aのように、足を伸ばし、上半身だけ使って持ち上げようとすると、腰痛を起こす可能性が高い。Bも、背中が丸く曲がって、腹筋に力をこめにくいので、腰を痛めやすい。Cは、腰を落とし、骨盤を立て、背中を真っ直ぐに伸ばすことで、腹筋にも十分な力が加わり、腰を傷めにくい。

 Aのように、足を伸ばし、上半身だけ使って持ち上げようとすると、腹筋に力が入らず背中の筋肉だけ重さを支えようとするので、腰痛を起こす可能性が高い。Bは、膝をしっかり曲げ全身で持ち上げようとしているが、問題は背中が丸く曲がっていること。この状態では、やはり腹筋に力をこめにくいので、背中の筋肉に大きな負担がかかり、腰を痛めやすい。

 正しい持ち上げ方はCだ。腰を落とし、骨盤を立て、背中を真っ直ぐに伸ばすことで、腹筋にも十分な力が加わり、体全体で持ち上げ動作を行うことができる。物を持ち上げる動作は、日常生活やスポーツで頻繁に行うので、正しい方法を知っておきたい。

背伸びのエクササイズで腰痛を予防

 ぎっくり腰を予防するためには、普段から体幹全体を上手に使う習慣を身につけておくことも大切だ。それは慢性腰痛、肩こり、首こりなど、さまざまな体の不調の予防にもつながる。体幹トレーニングとしては、バランスボールなど道具を使ったエクササイズやスクワットなどもあるが、仲野院長が「誰もが間違いなくできて、いつでもどこでも気軽に行える」方法として勧めるのが「背伸びのエクササイズ」である。

背伸びのエクササイズ
背伸びのエクササイズ
(1)足を肩幅に開いて立つ。このとき、つま先を広げず、まっすぐ前に向ける。(2)両手を正面で組んで、手のひらを前方方向に返し、肘を伸ばして腕を真上に上げていく。手の甲を見ながら、顔も一緒に上げていく。(3)顎を引くように、顔を正面の向きに戻す。自分の体を上と下で引っ張り合うようにして、体をしっかり伸ばす。(4)お腹に力が入った状態をキープしたまま、ゆっくり手を左右に下ろす。

 この背伸びのエクササイズは、仕事の合間などで繰り返すことがお勧めだ。背伸びするだけなら、休憩時間はもちろん、さまざまな用事で席を立ったときなどにでもできるだろう。時間に余裕があるときは、背伸びのエクササイズによって得られた正しい姿勢をキープしたまま、お腹に力を入れるよう意識し、体が上に引っ張られているような感覚でウォーキングをするとより効果的だ。

 この動作は、さまざまな動作をする前の準備運動としても有効だ。例えば、重い物を持つ前に背伸びのエクササイズをして、お腹に力が入っていることを十分に意識してから行うと、ぎっくり腰を予防することにつながる

次ページ 痛めてしまったときのエクササイズ