バランスの良い食事で天然保湿因子を増やす

 皮膚の最も外側にあり、私たちの体を紫外線、病原体、乾燥などから守るために重要な役割を果たしているのは、厚さ0.2~0.3mmほどの表皮だ。表皮の最も深い部分には基底層があり、そこで毎日新たな細胞が生まれている。細胞は、少しずつ体表に向かって分化し続け、28日ほどで体表面から剥がれていく。そして、細胞が剥がれる前の数日分に相当するのが角質層だ。菊池さんは「角質層は、すでに死んでいる細胞でできている。その厚さは約0.01mmと食品ラップほどだが、そのなかに肌の水分を保つための重要な要素が詰まっている」と話す。

 その一つ目は、角質細胞のなかにある天然保湿因子(NMF)だ。天然保湿因子は表皮の細胞が死んだ後、ケラチンなどのたんぱく質が分解されてできたアミノ酸が主成分で、それに乳酸、尿素などが加わっている。これらはどれも水分子を引き寄せる作用(保湿作用)があるため、角質細胞は水分をため込むことができ、肌表面の潤いを保っているのだ。

 では、どうしたら天然保湿因子を増やすことができるのか。天然保湿因子は、細胞のなかに含まれる成分なので、外から補充することはできない。天然保湿因子を増やすには、表皮が健康な新陳代謝を行えるよう、バランスのとれた食事を心掛けることが大切だ。特にビタミンB2、B6の不足は肌荒れの原因になることが知られている。肌荒れが続くようなら、皮膚科などでビタミン剤を処方してもらうなどの方法もある。

角質層の構造と保湿メカニズム
肌の潤いが保たれるのは、主に角質細胞のなかにある天然保湿因子(NMF)と、角質細胞間脂質の主成分であるセラミドの働きによる。また、皮膚表面の皮脂膜にいる常在菌のバランスが良く、肌が弱酸性に保たれていると、肌荒れや肌の乾燥が起こりにくくなる。(図は菊池さんの話を基に編集部で作成)
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