関節を支える筋肉を鍛える

 体力自慢の中高年ランナーにありがちなのは、自分自身の筋力を過信していること。膝関節の負担の少ない、正しい走りをサポートしてくれるのは中臀筋、内側広筋、大腿四頭筋などの筋肉だ。秋山院長は「このうち中臀筋、内側広筋はちょっとした運動不足で筋肉量が落ちやすく、鍛えようとしてもなかなか付きにくい」と話す。無理な走り込みで筋力をつけようとすると逆に故障の原因になる。

 秋山院長が薦めるのは、下図のような家庭でもできるトレーニングで筋力アップを図ることだ。このうち中臀筋は体軸のふらつきを防ぐ重要な筋肉。片足で立ってみたとき、すぐにふらついて倒れてしまうようなら中臀筋が衰えているサインだ。図に示したトレーニングのほか、市販のバランスボールなどを利用してもいい。また、内側広筋を鍛えるには膝のすぐ上あたりにボールを挟む運動がよい。ボールは、バレーボールより小さめぐらいがよく、100円ショップで売られている子供用ボールも案外使いやすい。

ひざの関節をサポートする筋肉を鍛えるエクササイズ
ひざの関節をサポートする筋肉を鍛えるエクササイズ
(1)中臀筋を鍛えるエクササイズ 上げた右腕が下側になるように、左腕で体を支えて、床の上で体を横向きにする。その状態で左足を30cmほど上げ10秒静止。10回を1セットとして、3セット行う。
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(2)内側広筋(ももの内側)を鍛えるエクササイズ 床の上に両脚を真っ直ぐ伸ばして座り、両脚のももの間に挟んだ直径15cm程度のボールを凹ませるように、10秒間ももに力を入れる。10回を1セットとして、3セット行う。
(2)内側広筋(ももの内側)を鍛えるエクササイズ 床の上に両脚を真っ直ぐ伸ばして座り、両脚のももの間に挟んだ直径15cm程度のボールを凹ませるように、10秒間ももに力を入れる。10回を1セットとして、3セット行う。
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格好つけずに自分に合ったシューズを

 高価なクラブが必要なゴルフと違って、ランニングにとりあえず必要なのはシューズだけ。ついついアスリートが使っているような「憧れのシューズ」に手を出してしまいがちだが、秋山院長によれば、それもひざトラブルの元。

 「アスリートは、走りの衝撃を最小限にする体の動きが身についているため、クッション性が少ないシューズを履いている。そうでない初心者は、やはりクッション性の優れたタイプのシューズを選ぶ方がよい」と秋山院長は話す。シューズは、専門的知識を持つ店員のいるショップで選ぶといいだろう。また運動用品メーカーが開催するランニング・クリニックに参加し、相談してみるのもいい。クリニックではO脚気味のひざの負担を減らすインソールなどのアドバイスもしてくれる。

 「高価なシューズを長期間履くよりは、お手頃のものを定期的に買い換えた方がいい」と秋山院長。シューズの踵は走り方のクセによって左右などに偏ったすり減り方をするが、それがフォームを崩すことにつながるからだ。

準備運動と早めのケアが故障を予防する

 秋山院長の最後のアドバイスは、「ウォーミングアップ」と「クーリングダウン」を忘れないようにすることだ。走ることがウォーミングアップと勘違いしている人もいるが、走る前にしっかりとストレッチなどで筋肉を柔らかくしておこう。また、走り込みで筋肉や関節に「痛み」「違和感」などを覚えたら、「走りを終えてすぐにアイシングをするのが基本」と秋山院長は話す。

 痛みは、ランニングのフォームなどのどこかに問題があることを知らせるサインだ。「地域のスポーツトレーナーやランニングクリニックで相談し、走りを一歩ずつ改善していくことが、生涯楽しく走れる体を作ることにつながる」と秋山院長は話している。

この記事は日経Gooday 2015年10月6日に掲載されたものであり、内容は掲載時点の情報です。

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