インナーマッスルの再構築が姿勢改善のカギ

 では、普段から猫背にならないように姿勢に気を付ければ、太鼓腹も改善していくのだろうか。花岡さんは「意識するだけでは姿勢はなかなか改善しない。ゆがんだり、硬く縮まっている筋肉をゆるめるなど、うまく働けなくなっている筋肉を、正常化していく必要がある」と話す。

コアハウスをつくる4つの筋肉群
コアハウスをつくる4つの筋肉群
腹部にある4種類のインナーマッスル(1)横隔膜、(2)骨盤底筋、(3)腹横筋、(4)多裂筋は「コアハウス」と呼ばれ、正しい姿勢を支えている。
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 このとき花岡さんが重要視するのは、正しい姿勢を支える4種類のインナーマッスル(1)横隔膜、(2)骨盤底筋、(3)腹横筋、(4)多裂筋だ。これらは体幹の核となる部分である腹部に位置し、家のような構造になっていることから花岡さんは「コアハウス」と呼んでいる。そして、これらの筋肉が、屋根、床、壁、大黒柱のように私たちの体を支えている。そのどれかが縮んで硬くなったり、伸びきっていたりしては、家全体がいびつに傾いてしまうというわけだ。

 姿勢改善の最終目標は、コアハウスを構成するインナーマッスルをしっかり使えるようになることだ。そうなれば「自然に美しい姿勢を保てるようになり、日常のさまざまな動作がスマートに見えるようになる」(花岡さん)という。

脱・太鼓腹を目指す3ステップのエクササイズ

 花岡さんは、コアハウスの考え方を用い、猫背姿勢を改善しお腹を凹ませる方法として3つのエクササイズを提案している。それぞれ1分のエクササイズ。毎晩1セットずつ行うのが基本だが、体の硬さが気になっている場合は、ステップ1のエクササイズだけを繰り返し行うなど、ある程度自由に行ってもいい。

ステップ1:硬くなった背骨を伸ばすストレッチ(1分)

 猫背の人は、骨盤の上部が後ろに傾いた状態になり、骨盤を起こす働きをする筋肉(腸腰筋)が使えなくなっている。それが原因で背中が硬くなってしまっている。まずは、硬くなった背骨をストレッチで軟らかくしていく。肋骨を大きく広げるように呼吸するといい。オフィスでも実践しやすいストレッチだ。

背骨を伸ばすストレッチ
背骨を伸ばすストレッチ
(1)背もたれのあるイスに浅めに座り、背もたれに寄りかかる。両手を組んで首を支える。(2)上体をゆっくり後ろへ倒し、肋骨が大きく広がるのを意識して、ゆっくり鼻から息を吸い、ゆっくり口から吐く。上体を倒した姿勢をキープして、この呼吸を3回繰り返す。もう一度、鼻から息を吸い、口から吐きながらもとの姿勢に戻る。
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