ドーパミンの快感がニコチン依存症を作り出す

 ニコチン依存症によってタバコが止められなくなっている人の脳内では、いったい何が起こっているのか。これまでの研究で、喫煙によって体内に取り入れたニコチンが脳内のドーパミンという快感をもたらす物質を放出させ、それが依存症と深く関わっていることが分かってきた。

(1)まず、脳にはニコチンが結合する「α4β2ニコチン受容体」がある。
(2)タバコを吸うと煙に含まれるニコチンがすぐに脳に達する。
(3)ニコチンがニコチン受容体に結合すると、快感を生む物質ドーパミンが放出される。
(4)ドーパミンの働きで「スッキリ」した気分が味わえ、もう1本タバコを吸いたくなる。

喫煙がニコチン依存症をもたらすメカニズム
喫煙によって体内に取り入れたニコチンが、脳内のドーパミンという快感をもたらす物質を放出させる。その働きで「スッキリ」した気分が味わえ、続けてタバコを吸いたくなって、ニコチン依存症になっていく。
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 このようにニコチンがもたらすドーパミンの快感を求め続けてしまうのがニコチン依存症なのである。すでに喫煙している人は、どこまで依存が進んでいるのかが問題になる。禁煙外来では、それを以下のスクリーニングテスト(TDS:Tobacco Dependence Screener)で評価し、治療方針を立てる。

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 はいの数を点数化し、5点以上でニコチン依存症が強く疑われる。嶋田医師は「依存症の診断は医師が総合的に行うが、10点など点数が高い患者ほど禁煙も難しくなる傾向がある」と話す。

 なおTDSの点は治療に健康保険が適用されるかどうかにも関わる。例えば、健康保険の適用になる一般的な条件は、以下の通りだ。

(1)直ちに禁煙しようと考えていること。
(2)TDSによりニコチン依存症と診断(TDS 5点以上)されること。
(3)35歳以上の人については、ブリンクマン指数(1日の喫煙本数×喫煙年数)が200以上であること。
(4)禁煙治療を受けることに文書で同意すること。
(5)過去1年以内に保険を使った禁煙外来診療を受けていないこと

 上記に該当しない外来患者の場合は自費診療となる。また、禁煙外来を一度受けてから再度喫煙してしまっていても、初診日から1年経過していれば、再び禁煙外来を健康保険で受診できる。