その不快感、もしかしたら間質性膀胱炎かも

 これまで間質性膀胱炎は比較的まれな病気と考えられてきた。膀胱粘膜にハンナー病変のある重症タイプは、厚生労働省の「難病」にも指定されている。しかし、高橋さんは「患者数が少なかったのは、はっきりとした診断がつくケースがまだ少ないためで、これまで診断が行われなかった軽度のものを含めると患者数はかなり多くなる可能性もある」と指摘する。

 例えば、海外での統計調査を見ても、間質性膀胱炎の罹患率は人口の0.01%から2.3%というデータがありバラつきがあることが分かる。もし、罹患率の高いほうのデータが妥当だとすれば、100人中2人以上の患者がいることになる。

 これまでの研究で、間質性膀胱炎があっても最初は症状が出ないケースがあることも分かってきた。しかし、何年もの間に膀胱粘膜の損傷が進むことによって自覚症状が少しずつ現れ、下腹部の不快感などをもたらすと考えられるようになってきた。こうした初期の患者は、「下腹部に不快感を感じる」「うっとうしい感じが長く続いている」といった症状を訴えることも多いが、これまでは膀胱鏡による診断にまではたどり着かず、前述のように慢性前立腺炎などと診断されてきた可能性がある。

 しかし、間質性膀胱炎と慢性前立腺炎の治療は大きく異なる上、間質性膀胱炎の新たな薬物治療の研究が進んでいる。早期に正しい診断を受けることは患者にとってメリットになると考えられる。下腹部の不快感で悩んでいる人は一度、地域の大きな病院の泌尿器科などで相談してみたい。

高橋 悟(たかはし さとる)さん
日本大学医学部泌尿器科学系 主任教授
高橋 悟(たかはし さとる)さん 1985年、群馬大学医学部を卒業。東京大学医学部附属病院、米メイヨークリニックなどの勤務、東京大学医学部助教授を経て、2005年より現職。2003年には、天皇陛下の「前立腺がん」の手術を担当する医療チームに加わった。排尿関連のトラブルでは、日中や睡眠中に突然の強い尿意におそわれる「過活動膀胱」や、排尿障害を引き起こす「前立腺肥大症」などの治療を多く手がけている