料理で五感を刺激、積極的に話す機会を

 冬季うつは、いわゆる気力が限界まで失われ、ときに自殺願望を抱くような「うつ病」とは異なる。「精神的なコンディションを高めるためには、上手に体を動かしたりすることも大切だ」と大野さん。大野さんが勧めているのは「男の手料理」だ。

 大野さんによると、料理は作るのに想像力を必要とするほか、触覚、味覚、嗅覚など五感が総動員される。良い意味で脳に刺激を与えてくれるという。「実際、料理をする人はうつ傾向からの回復が早い。とくに30代男性など、それまで料理をしたこともなかった男性に勧めると、それが趣味になってしまい、性格や雰囲気すら変わってしまうこともある」(大野さん)という。

 良い意味で脳に刺激を与えるという意味では、話すことも大切だ。男性ビジネスマンの場合、仕事以外で他人ときちんと話す機会が少ない人が多い。とくに冬季うつの場合は、人と関わることが少なくなる傾向がある。いわゆる“引きこもり状態”になることもあり、それが症状を悪化させる悪循環をもたらす。大野さんは「一人暮らしの場合、実家の家族でも趣味のサークルでも良いので、少しでも人と話す場を設けてほしい」と話す。

4月には好転。転職の落とし穴にもご用心

 冬季うつは、多くの場合、4月頃までには症状が解消される。それまでの間は上手に精神的なコンディションを高められるよう工夫してみたい。「気分が落ちたまま、3~4月の人事異動、転勤などのライフイベントを迎えると症状が長引きやすい」(大野さん)からだ。生活改善を試みても症状が改善しない場合は、産業医などに早めに相談しよう。

 また、この季節「こんなにつらいのは仕事が自分に向いていないからだ」と早合点しないことも大切だ。例年、2月に入れば人事異動の方針が決まり、「中途採用」など求人活動も活発化する。一時的な感情で転職の誘いに乗って失敗するケースも少なくない。まずは、自分自身の「冬季うつ」としっかり向き合うことが大切だ。

大野萌子(おおの もえこ)さん
メンタルアップマネージャ、日本メンタルアップ支援機構 代表理事
大野萌子(おおの もえこ)さん 法政大学を卒業。企業内の健康管理カウンセラーとして18年の現場経験があり、人間関係改善に必須のコミュニケーション、ストレスマネジメントなどの分野を得意とする。現在は防衛省、文部科学省などの官公庁をはじめ、大手企業、大学、医療機関などで年間120件以上の講演・研修を行う。著書に『「かまってちゃん」社員の上手なかまい方』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)などがある。