冬季うつの典型的な症状とは

 自分が冬季うつかどうかはどのように判断したらいいのか。医師は、専門機関が作成した冬季うつのチェックリストなどを基に診断するが、ここでは典型的な症状の例を挙げた(専門家が診断に用いるSeasonal Pattern Assessment Questionnaire[SPAQ]を基に、簡素化したものを編集部で作成)。以下のリストで自分に当てはまるものがあれば、冬季うつの傾向あり。さらに日常生活を「つらい」と感じているようであれば、早めに産業医、精神科、心療内科などに相談し、診断と治療を受けてほしい。

●年末が近づくと、うつっぽくなって落ち込むことが多い
●睡眠時間が夏場よりも、随分長くなった
●朝、なかなか布団から出られない
●午後、仕事中に眠くなることが増えた
●仕事・家事が集中してできない
●注意力散漫になって、うっかりミスなどが増えた
●ご飯、麺類、パンなどの炭水化物や甘い物が食べたくなる
●好きだった趣味などをしなくなった
●人づきあいを面倒に感じるようになった
●毎年、4月頃になると精神的に楽になる

積極的に光を浴び、バランスのよい食事を

 精神科や心療内科では、冬季うつ患者に対して薬物治療も行うが、重要なのは生活改善だ。まずは1日1時間程度、太陽の光を浴びること。光は、脳内の神経伝達物質の一つである「セロトニン」の合成量を増やしてくれる働きがある。セロトニンは、気分の波や食欲をコントロールする働きがあるため、冬季うつの症状改善とも深く関連している。

 このとき漫然と日光浴をするのではなく、明るい光を目で見ることが大切だ。光の刺激が目を通じて脳に伝わるからだ。もちろん、太陽を直視するのは目に悪い、午前中からお昼にかけて、晴れた日の明るい空や景色を意識して見るようにしよう。大野さんは「ビジネスマンの例では、昼の休憩時間にジョギングなどの運動をしている人は冬季うつになりにくい傾向がある。景色を楽しみながらの散歩もお勧めだ」と話している。

 また、セロトニンを合成する原料となるのが、必須アミノ酸のトリプトファン。トリプトファンが足りないと、光を浴びても効果が得られにくい。トリプトファンは、普通に食事をとっていれば、不足する心配はほとんどない。だが、冬季うつの人は炭水化物に偏った食事をとりがちなので、摂取量が足りなくなることがある。バランスのよい食事を心掛けるともに、トリプトファンを多く含む豆類、肉類、チーズ、ナッツ類などを積極的に食べるようにするといいだろう。

 また、大野さんは「肉や魚でとったトリプトファンは、炭水化物がないとうまく利用できないという報告もある。特定の食材に偏らないように注意して、バランスの良い食事を心掛けたい」とアドバイスする。