昨今どの組織でも頻繁に語られている「イノベーション」。今、ここにドラッカーがいるとしたら、「イノベーション」についてどんな本質的な助言をしてくれるでしょうか。

 はじめに、ある会社で新規事業の提案をした若手社員と、その企業を二代目社長として大きく発展させてきた経営者(CEO)との間のやり取りから、スタートします。

(某企業での新規事業提案会議にて。若手社員とCEOの会話)

若手社員:ただいまお話ししました、○○と△△の技術力を生かして外食業界にイノベーションを起こしていきたいと思います!

CEO:なるほど、大体言いたいことはわかったよ。ところで、『イノベーション』ってなんだ?

若手社員:イノベーションですか?

CEO:そう、プレゼンの最後にイノベーションを起こしたい、と言っていただろう。それだ。

若手社員:誰もやったことのない、画期的なことを仕掛ける、というイメージで使ったのですが・・

CEO:新しくて画期的だと、イノベーションなのかな?

若手社員:そういうわけでもないかもしれません・・。

CEO:まあいいよ。うちの役員陣でも正確に説明できる人は少ないだろう。けど、自分でその言葉を使うなら、『定義』をしっかり考えて欲しい。

若手社員:はい、すみません。有名な起業家や経営者の自伝もよく読んだりしますが、いざ自分で何をやればイノベーションを起こせるのか、全く腹落ちしていないのが正直なところです。

CEO:他人の経験談を聞いても、答えは見つからないよ。重要なのは、『何をやったか』ではなくて『何を、どう見て、どう解釈したか』だ。

若手社員:どう見て、どう解釈したか・・・ですか。

CEO:そうだ。我々の目に見えるものというのは、大きな違いはない。けれど、イノベーションを起こす人は、同じ対象を見ていても『解釈』が全く違う。

若手社員:同じ事象やものを見ていても、捉え方が違うということですか?

CEO:そうだ。その解釈の違い、視点のずらし方が、イノベーションの原動力になる。俺がたくさんの失敗を繰り返して学んできたことでもある。

若手社員:自分も身につけることができるでしょうか。

CEO:もちろんだ。イノベーションは、誰でも身につけられる。日々意識して練習をすれば、必ず身につけられる。