何かを新たに生み出していく上で、ドラッカーがもっとも重視していたのが、「集中する」ということでした。すなわち、自分がエネルギーを注ぐべき対象を明らかにして、そこにパワーと情熱を傾けることで価値の高いものが生み出される、という考え方です。当たり前のことのようですが、私たちは日々の職場において、「広く、満遍なく手を出す」ことをしがちで、この「集中」ということを忘れがちな気がします。

 この「集中」「注力」という観点から、もしドラッカーが「生産性を高めていくための条件」を問われたとすれば、以下のように答えると私は思います。

「生産性を上げるには、以下の四つの条件が必要である。

  1. 得たい「成果」をイメージし、そのために「最も重要なこと」に集中する
  2. 自分の「強み」「長所」に集中して、それを活用する
  3. 「自分が最も貢献できること」を常に考え、意識する
  4. 上記をメンバーで共有することにより、「関係性」「チームワーク」を向上させる」

 重要な目的を共有し、それぞれが強みを発揮し、全体目的にもっとも貢献できる役割に集中することで、結果として職場の人間関係は「生産的」なものになっていく、というのがドラッカーの考え方です。

誰が、「生産性」を高める責任を負うのか?

 最後に、いったい誰がこの「職場の生産性」という課題にもっとも責任を持つべきなのでしょうか。おそらく、ドラッカーはこう答えるはずです。

「知識労働者の仕事の生産性に、誰よりも責任を持つべきは、知識労働者自身である。自ら目的を持ち、自らできる意思決定を個々の知識労働者が行っていかなければ、変化の激しい環境で企業は成長できない。マネジャーにできることは、生産性の向上に自ら責任意識を持つ人たちを束ねて、成果につながるやりがいの高い仕事を与え、チーム全体が向かうべき方向を示し、率いていくことである」

 ドラッカーの考え方をヒントにすれば、私たち自らがリーダーシップを発揮して、生産性を高める責任を担い、仕事自体を面白く、エキサイティングなものに変えることができます。それこそが、ドラッカーが今日のビジネスパーソンに伝えたい、最も重要なメッセージであるはずです。

(第2回 終わり)

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