最も重要なことを自ら選んで、「集中」する勇気を

 一連の「働き方改革」に限らず、情報化社会の現在は、ありとあらゆる情報が溢れています。当然、すべてに手を出すことは不可能です。ここまで述べてきたとおり、「知識資本」の時代には、ますます「自分自身の決断」が求められます。今の日本企業にもしドラッカーがエールを送るとしたら、

 「かつて、世界も驚く経済成長を成し遂げた、日本が生んだ偉大な事業家、起業家たちのマインドに再び学ぶこと」

 ということのような気がします。今現在、何万人、何千人と社員がいる企業も最初は、一人、二人の事業家が抱いた「夢」「願い」が始まりでした。そこから、自ら動き、意思決定するリーダーが育ち、素晴らしい事業を立ち上げてきたのです。

 知識資本の時代には、一部のリーダーだけでなく、ほぼすべての社員が、自らの「意思、意図」を持ち、「(大小様々な)意思決定をする責任」を持つ必要があります。溢れる情報や選択肢の中から、「自ら」力を集中すべき対象を選択する意思決定が求められます。かつてのような階層型の組織構造ではなく、社内外の様々な人とチームを組んで仕事を進める「プロジェクト」型が主流の時代には、入社1年目、2年目の若者でも「マネジャー」として動くことが求められるからです。

 最後に、ドラッカーのこの言葉をご紹介します。私自身、いつも見返し、肝に銘じている言葉です。

「集中とは何か? それは真に意味あることは何か、もっとも重要なことは何か、という観点から、時間と仕事について自ら意思決定する勇気のことである。」
(『プロフェッショナルの条件』)

 知識労働者は、自ら「意思決定」をする勇気を持たなくてはいけません。そのような観点で考えれば、「働き方改革」は、我々個々人が自らの「仕事の目的」を再び見つけ出し、自分という貴重な資源のエネルギーを集中させる対象を決める上で、かつてないチャンスと言えるのではないでしょうか。

 日経BP社は10月、米国クレアモント大学ドラッカースクールの教授陣を招いた特別セミナーを開催します。学長による講演のほか、米国のMBAスクールの授業形式をそのまま日本に持ち込んだワークショップも開催します。

 現代の米国のMBA、リーダーシップのあり方について学ぶことができるまたとない機会です。ぜひ、ご参加ください。

 10月16日(月)14:00~17:00
いま企業に必要なマーケティングとイノベーションのポイント

ドラッカー・スクール学長 ジェニー・ダロック氏特別講演

 10月17日(火)・18日(水)9:30~17:00
特別企画ドラッカー・スクールリーダー要請ワークショップ

ドラッカー・スクール学長 ジェニー・ダロック氏
ドラッカー・スクール教授 山脇秀樹氏
ドラッカー・スクール准教授 ジェレミー・ハンター氏