「知識労働の時代」は、あなた自身が問われる時代だ

 上記の親子のやり取りから見えることは何でしょうか。それは、今日のいわゆる働き方改革が、多くの場合、「残業時間」「余暇の取り方」「勤務形態の多様化」など、「自分自身の外」のことに終始していて、肝心の「自分自身は何者で、自分の意見は何で、今後どんな未来を実現したいか」という「個の責任と自立」をおざなりにしているという現実です。

 率直に言えば、会社がお膳立てする「働き方改革」に賛否の批評を繰り返すだけで、「自分自身はこうしたい」「事業を通じてこういう価値を生み出したい」という強い自己が育っていないのが現状ではないでしょうか。それはもちろん、現場の社員だけでなくマネジメント層にも当てはまります。「働き方」の外側の形を変えることに終始し、本来リーダーに求められる、

  • 未来を創る「意思決定」をする責任
  • 過去を「廃棄」する勇気

 が十分に発揮されていません。リーダー自身の「内面の変容」が伴わなければ、そのメッセージがメンバーの心に響いていかなければ、「働き方改革」は掛け声倒れに終わっていく危険性が高いです。

 ドラッカーは、最後の著作でこんなことも書いています。

 「知識労働者の特性は、働き手が労働力ではなく資本だというところにある。資本の働きを決めるものは費用の多寡ではない。量でもない。」
(『ネクスト・ソサエティ』)

 知識労働者たちが集まり、協力し合い、対話を重ねる中で生まれる「知識」「アイディア」「知恵」と言った「知識資本」が事業の競争力を高める時代です。その知識資本を効果的に生み出すのは、「時間やお金をどれくらいかけたか、減らしたか」ではありません。ドラッカーは、知識労働の生産性を高めるために、以下の4つの条件を挙げています。

  1. 仕事の目的を考えること
  2. 自ら生産性向上の責任を負うこと
  3. イノベーションを継続的に行うこと
  4. 自ら継続して学ぶこと

 これらこそ、「働き方改革」という大きな流れがあるうちに、個々の知識労働者である我々が、肝に銘じるべきことではないでしょうか。外側の変化に、内面の自己の成長を追いつかせることが不可欠です。