ドラッカーは、マーケティング、イノベーション、自己(セルフ)マネジメント、経営倫理、生産性、戦略、人間心理、会計、情報技術など様々な経営テーマを深く探りながら、それらを個別バラバラのものではなく、経営(マネジメント)全体として体系化しました。彼のとりわけ優れていたところは、その「観察力」「洞察力」です。表層的な事象に惑わされず、

  • 「今、何が起きているか?その意味することは何か?」
  • 「これからどういう未来に向かうか?」
  • 「経営者、マネジャーにとって、今、どのように考えることが重要か?」

 といった「本質」を見抜き、それをシンプルな言葉で表現したところです。

 もちろん、人間科学、哲学、経済学、社会学など膨大な知的インプットがあったからこそできたとも言えます。しかし、その「考え方」「見方」は私たちも学び、身に付けることができます。

 自分たちも、ドラッカーの考え方、モノの見方を学び、「今、ドラッカーだったらどのような本質的な見方をするだろう」と考えることで、新しい視点や選択肢に気づくこともできるでしょう。閉塞感がある状況でも、目の前がパッとひらかれたような可能性も感じることができると思います。

 2014年に日経ビジネスオンラインで連載させていただいた「対話で探るドラッカー経営学の本質」では、ドラッカーのマネジメント論のエッセンス(要点)を「対話形式」というスタイルでお伝えしました。

 それから3年が経ち、企業や仕事を取り巻く環境はますます変化しています。

 今回の連載では、変化の激しい時代にも我々の日々の仕事の道標となるような、ドラッカーの「考え方、モノの見方」に注目していきます。

 全5回、今日職場で頻繁に語られているテーマを題材に進めていきます。ぜひ楽しんでお付き合いください。

【テーマ構成】
※変更の可能性があります。

  • 第1回 「働き方改革」で最も大切なことは
  • 第2回 「生産性」とは
  • 第3回 「イノベーション」を実践する
  • 第4回 部下の「モチベーション」を高める
  • 第5回 「リーダーシップ」とは何か

(昨今企業で頻繁に語られながら、いまひとつその本質が見えにくくなっているテーマについて、『もしドラッカーと一緒に考えたら』という視点で解説します)

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