これからの組織に必要な「リーダーシップ」の形

 ドラッカーは、原則を重視した人でした。しかし一方で、時代に応じて組織も事業も形を変化させていくべきだとも考えていました。昨今、職場環境、組織形態、ビジネスのやり方、人の働き方、いずれも大きく変わっています。このような変化の中で、今ドラッカーが私たちに「リーダーシップ」について助言するとしたら、こんなことを伝えてくれるような気がします。

 「一人の絶対的なリーダーが組織全体の指揮を取るというスタイルは、完全に時代遅れだ。社内外に大小様々な無数のプロジェクトが生まれている今日、『一人一人が』リーダーの役割を担う。また一方で、『リーダー』と『フォロワー』が目的に応じて入れ変わる時代でもある。あるときはリーダーの役割、別の時はリーダーを支えるフォロワーの役割、というように。実は、リーダーとフォロワーが入れ替わりながら多数存在している組織こそが、『リーダーシップ』が発揮されている強い組織だ」

 役職を持たない一若手社員であっても、「リーダーシップ」を発揮できる(すべき)環境は以前に比べて格段に増えています。また、場合によっては組織の長や経営者が「フォロワー」に徹することもありうるでしょう。変化の激しい時代の中で、労働環境が柔軟で流動的になっているからです。

 だからこそ、自分自身を知り、自分らしいリーダーシップを発揮する術を誰もが身につけなければなりません。時にリーダーとしてフォロワーの信頼を得て、時にフォロワーとしてリーダーを信じて支える、そのような働き方をすることでその組織の「リーダーシップ」は確実に向上し、生産的になっていきます。

自分らしい「リーダーシップ」を発揮する為の5つの問い

 最後に、自分の中にある「リーダーシップ」の種子を掘り起こし、自分らしい「リーダーシップ」を発揮できるようになる為の5つの問いをまとめてみました。ドラッカーの助言を基に、私の周りで自分らしくリーダーシップを発揮していて、その人を信頼してついてくるフォロワーがいるような人たちを観察した結果でもあります。

    ・あなたは何者ですか?何を実現したい人ですか?あなたという存在がここから消えた後に『どのような人であった』と記憶されたいですか?

    ・あなたの『強み』とは何ですか?強みを生かし、どのような貢献をしたいですか?また同時に、自分の『弱さ』を認識していますか?

    ・あなたにとって『真摯であること』とは、どう生き、働くことですか?

    ・あなたは、何を捨てますか?

    ・『自分自身』であるために、これから、どう行動を変えていけますか?

 これらの問いを、毎日10分でも良いので時間をとって自分に投げかけてみてください。自分の答えをノートに書いて見るのも良いでしょう。その結果、周りからのプレッシャーや要求ではなく、本当の「自分自身」が実現したいことが見えてくるはずです。そうすれば、偽りなく「自分の真意」を語り、真摯に行動することができるようになります。そこには間違いなく「フォロワー(信頼して応援してくれる人)」が生まれてくるでしょう。最初は、フォロワーは少数かもしれません。しかしそれが徐々に大きくなり、組織を、社会を動かしていく力になるはずです。

(第5回 終わり)