改革後1年でToMoが20ポイント上昇

 最後に、「悪い社風」を「良い社風」に変えた具体例を紹介しよう。

 ある大手投資管理企業と仕事をしたときのことだ。関連グループの1つに、ToMoが非常に低い組織があった。その事務管理部門は、ファストフード・レストランと何ら変わるところがないほどToMoが低かった。

 そこで、私たちは、社風チームの設置を手伝い、小規模のパイロットグループを立ち上げた。1000人規模の組織なので、社風チームはわずか10人ほどだった。パイロットグループを使い、報酬・昇進制度やパフォーマンス管理の改革を試したところ、半年から1年でToMoが20ポイント上がったのだ。現在、同社は、全社を挙げて改革に乗り出している。

 社風という資産の構築は一朝一夕にはいかない。だが、今後30年以内に、世界中の企業が1社残らず高いToMoを持てるようヘルプすることが、自分たちの使命だと考えている。(おわり)

「良い社風」は意識的に努力して作り出すもの!
『マッキンゼー流 最高の社風のつくり方』
『マッキンゼー流 最高の社風のつくり方』 (ニール・ドシ、リンゼイ・マクレガー・著 野中香方子・訳、定価1800円+税、日経BP社)
『マッキンゼー流 最高の社風のつくり方』 (ニール・ドシ、リンゼイ・マクレガー・著 野中香方子・訳、定価1800円+税、日経BP社)

 同じような業種、人材の企業であっても、業績に大きな差がつく。現在のように厳しい経営環境のもとではなおさらです。本書著者のニール・ドシとリンゼイ・マクレガーは、マッキンゼーなどで数多くの企業の経営コンサルティングに携わりながら、「その差は社風や企業文化の違いによって生じるのではないか」と考えるようになりました。社風は捉えどころがなく、意図して作り出すことなどできない、と思いがちですが、著者たちは20年かけて、社風や企業文化の本質を科学的に解明。しかも、「悪い社風」を「良い社風」に変革する方法を編み出しました。不確実性と複雑性が高まる現在、良い社風を築き、社員一人ひとりが自律的に変化に対応できるように、環境を整えることが、企業経営にとって欠かせません。その一助として、本書が大いに役立ちます。