「コブラ効果」が組織を蝕んでいく

 もっとやっかいなのは、「コブラ効果」が生じることだ。

 かつてインドで、コブラを減らすため、「コブラの死骸を持って来た人に報奨金を支払う」という通告を出した。この話を聞いた数人の起業家が、コブラの死骸で一儲けしようと、コブラの養殖場を作った。それを知った政府は、報奨金を出すことをやめてしまった。起業家たちはやむなく養殖場からコブラを逃がし、町には逆にコブラが増えてしまった、というエピソードからその名前がついた。

 ToMoが低い人は、プレッシャーを和らげることができそうな最短の道を探し始める。たとえその道が、組織の目的とは反対の方向に向かっていたとしてもだ。これがコブラ効果だ。

 いくつかの事例では、社員は、高成績の人が自分のチームに入らないようにして、自分のランクが下がるのを防いだ。駆け引きが、生き残るためのスキルになった。「最も重要なテクニックは、素知らぬ顔で必要な情報を同僚に回さず、彼らが自分より上のランクにならないようにすること」と、あるエンジニアは言った。私たちは、同様の業績管理システムを持つ他の企業で、似たような話を聞いた。その会社のチームの責任者は、業績評価が終わるまで、成績の低い者をわざとチームにとどめ、高成績の者のランクが下がらないようにしていたそうだ。

 米国では成果主義が重視されてきたが、最近、成果主義の弊害のほうが大きいことに気づき始めた企業が増えている。楽しさや目的、可能性という動機があれば、成果を指標に評価する必要がないことを、研究結果が示しているからだ。

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