ToMoを高める直接的動機が大事

 こうした企業がある一方で、優れた社風の企業が少ないのはなぜか。まず、サイエンスを学んだビジネスリーダーが少ないという事情がある。指導層の大半は、高業績を生む社風が何かもわかっていない。

 また、社風という研究自体が、まだ新しいものであり、定量化され、データで証明できるような説得力のある研究へと進化したのは、つい最近だという事情がある。そうした意味で、拙著『マッキンゼー流最高の社風のつくり方』は最先端の研究を取り上げたものだ。

 3つ目の理由は、企業が人事部を、給与や福利厚生を管理する部署として扱っていることだ。社風を資産としてみなすという戦略的役割を人事部に与えていない。人事部の中に社風チームを置き、社風のToMo度を高める必要がある。

 日本では、(各現場が採用する米国と違い)人事部が採用に当たるようだが、社風の構築も任せるべきだ。「最高社風責任者(CCO)」を筆頭とする社風チームを人事部に置き、ToMoの向上によって社風を高めることを主任務とするのが理想だ。

 今回は、良い社風を築くには、ToMoを高める直接的動機が大事であることを見てきた。次回は、ToMoを高める具体的な方法についてお話ししたい。
 (次回につづく)

「良い社風」は意識的に努力して作り出すもの!
『マッキンゼー流 最高の社風のつくり方』
『マッキンゼー流 最高の社風のつくり方』 (ニール・ドシ、リンゼイ・マクレガー・著 野中香方子・訳、定価1800円+税、日経BP社)
『マッキンゼー流 最高の社風のつくり方』 (ニール・ドシ、リンゼイ・マクレガー・著 野中香方子・訳、定価1800円+税、日経BP社)

 同じような業種、人材の企業であっても、業績に大きな差がつく。現在のように厳しい経営環境のもとではなおさらです。本書著者のニール・ドシとリンゼイ・マクレガーは、マッキンゼーなどで数多くの企業の経営コンサルティングに携わりながら、「その差は社風や企業文化の違いによって生じるのではないか」と考えるようになりました。社風は捉えどころがなく、意図して作り出すことなどできない、と思いがちですが、著者たちは20年かけて、社風や企業文化の本質を科学的に解明。しかも、「悪い社風」を「良い社風」に変革する方法を編み出しました。不確実性と複雑性が高まる現在、良い社風を築き、社員一人ひとりが自律的に変化に対応できるように、環境を整えることが、企業経営にとって欠かせません。その一助として、本書が大いに役立ちます。

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過去のコメント

  • やはり、頭のいい人たちが考えることは「きれい」ですよね。ロジック的には当然うなずける。でも人間そんなに「きれい」に動きません。モチベーションなんてものは本当に会社が作り出すべきものなんでしょうかね。それがないとうまくいかない?世の中そんなに甘くないと思いますが。。。。もっと、そんなことは全部わかった上で、なぜこうなるのかという本質に対する洞察がほしいですね。論理的に「きれい」な帰結ではなく。トップマネジメントが無理解だからそうなっているという話ではないと思うし、それが「最先端の理論でみんな知らないから」なんて話では絶対にないと思いますよ。「モチベーション」なんてのはうまくいっているときの後付の理屈以外のなにものでもないように思いますけどね!!!!

  • あくまで個人的な感想で恐縮ですが、最近感じている無気力さ、モチベーションの低下の理由が、見事に言い当てられている気がしました。仕事がそれほど楽しいと感じられないし、目指すところも見えないけれど、生活のために働かなければならないし、他の仕事を探すのも大変なので、せめて、できるだけ給料を上げてもらうために成果を出そう、という状態に陥っていたことに気づきました。

    私みたいな人は実は結構多いのでは、と邪推しますが、社員一人ひとりが意欲的に働ける環境が作れると、会社も社員も幸せですね。

  • 前向き気分は職場で得られるべきものなのに、無駄な仕事を作り出す状況が会社にはある。それが東芝で有名になった「チャレンジ」のような上からのノルマやプレッシャーでしょう。ヒエラルキーを昇進していく人間の多くはそれに耐えることが出来る人間。そのプレッシャーが如何に理不尽でも、自分がプレッシャーを与える側になると部下をリモコンで操作している自分に陶酔してしまう。まずは企業のトップが社風を変えることが自分にとって、会社にとって、社員にとってそして顧客や納入業者にとっても不利益を減らせるということに気付かなければならない。

  • 仰ることは正しいように思うのですが
    そうはいっても難しいですよね。
    特に大企業になればなるほどマネージャーが多くなり
    結果として企業全体の社風を管理することが難しくなると思います。

  • 給与が低すぎると生理/安全欲求が満たされず楽しさも感じられないと思いますが、
    最低限の給与(退職しても当分生きていける蓄えが作れるレベル)を前提としているのでしょうか?
    仕事に対する報酬が十分で無いと、経済的圧力が高くなるような気がしますが。

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