なぜ、組織はモチベーションを潰すのか?

 社員の「楽しさ」「目的」「可能性」を高めることができれば、大企業より条件が厳しいスタートアップでも、解雇の必要性がなくなる。社員が高いパフォーマンスを見せてくれるようになるからだ。

 だが、多くの企業では真逆のことが行われている。社員を教育せず、サポートもせず、職務・役割設計もお粗末で、高いToMoに支えられた社風もない。そして、社員のパフォーマンスが悪いとクビを切る。新しい人材を雇っても、堂々巡りだ。解雇も採用も非常にコストがかかるため、こうしたやり方は低ROI(投資利益率)、低リターンのビジネスモデルでしかない。

 航空会社のなかで最も顧客満足度が高いサウスウエスト航空は、私たちが調べた全業種の大企業のうち、最も高いToMoを誇る。それはなぜか? 

 社員が歌を口ずさんだり、面白い服を着たりするのを許しているからか。そうではない。サウスウエスト航空は、ToMoの向上に向けて意識的に努力しているからだ。

図 サウスウエスト航空とその競合3社のToMoと6つの動機の測定結果
図 サウスウエスト航空とその競合3社のToMoと6つの動機の測定結果
差別化が難しい業界にいながら、サウスウエスト航空のToMo指数は最も低い企業の2倍となっている。
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 サウスウエストは、非常に変動しやすく、破産も珍しくない厳しい航空業界にありながら、長年にわたって目覚ましい収益を上げ続けている。それは、環境への適応性からくるものであり、その適応性はToMoから生まれるものだ。

 具体的には、まず、社員に自由や裁量を与え、いろいろなことを試したり、学んだりするよう働きかけること。これによって、大きな「楽しさ」が生まれる。人は、新しいことを学ぶと面白いと感じるものだが、サウスウエスト航空は、あらゆる職種の社員がこう感じられるよう努めている。

 スキルアップなど、社員教育にフォーカスする組織づくりを行えば、社員への信頼が増し、より多くの裁量を与えられるようになる。その結果、社員の仕事に楽しさが生まれる。

 サウスウエストが心がけているのは、自分の役割が顧客のためになっていると、社員が感じられるようにすることだ。上司ではなく、顧客を喜ばせることが目標なのだ、と。多くの会社では、「上司を喜ばせることが君のゴールだ」と指導するが、それではToMoが高い組織とは言えない。サウスウエストは、「念頭に置くべきは顧客」というシグナルを絶えず社員に送っている。

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