足を引っ張る間接的動機とは

 一方、社風を悪化させる間接的動機についても、見ていこう。

間接的動機1●感情的圧力
 「感情的圧力」は、失望や罪悪感、羞恥心ゆえにある活動をする場合に生まれる。母親をがっかりさせたくないから働く(習い事をする)、立派な肩書が自尊心を満たしてくれるので仕事を続ける、健康のためではなく外見を恥ずかしく思うからダイエットをする。いずれの場合も、動機は取り組んでいることと直接つながっていない。
 「感情的圧力」が仕事への動機である場合、パフォーマンスは伸びにくいが、企業の職場では、感情的圧力の影響をよく目にする。例えば若手社員は、経営幹部との打ち合わせで自分がどう思われるかを心配するあまり、プレッシャーにつぶされたりする。もっとも、「感情的圧力」は3つの間接的動機の中では一番弱い。次の「経済的圧力」はもっと悪い影響を及ぼす。

間接的動機2●経済的圧力
 「経済的圧力」が生じるのは、報酬を得るため、あるいは、解雇などの罰を逃れるために、働く場合だ。この動機は仕事からかけ離れており、本人のアイデンティティーとも、かけ離れている。職場では、ボーナスを多くもらいたい、昇進したい、クビになりたくない、怒りっぽい上司にいじめられたくない、といった感情がそれに相当する。仕事以外でも、何かをしなければならないと感じる時、このプレッシャーが生じやすい。
 一般に、ある活動に参加する目的が金銭だけという場合、パフォーマンスは低くなりがちだ。他の理由で参加するのであれば、報酬の有無は業績に影響しない。だからこそ、あらゆる動機を総合的に理解する必要がある。

間接的動機3●惰性
 最も間接的な動機は、「惰性」である。「惰性」が動機の場合、それは仕事からあまりにも離れているので、それがどこから生じているのかさえわからない。ただ昨日やっていたことを今日もやるだけだ。「惰性」がもたらすのは、最低のパフォーマンスだ。破壊的で見えにくい「惰性」は驚くほど職場に蔓延している。わたしたちが行った調査により、被雇用者の大半が、これといった理由もなく今の仕事をしていると感じていることがわかった。
 ちなみに終身雇用制度は惰性を生むと思われがちだが、必ずしもそうではない。「楽しさ」「目的」「可能性」を感じていれば、解雇されるという「経済的圧力」が抑えられる分、プラスに働く。

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