今回は「深い人脈」について考えます。定期的に会って話を聞くようにしましょう。人間は「自分の話を、繰り返し、親身になって聞いてくれる人」を確実に好きになります。それは、なぜか? 結婚詐欺や投資詐欺などはこの心理メカニズムを悪用しています。

 社内外に人脈を形成することは、新任管理職の皆さんにとって、とても大切なことだと思います。そこで今回は、人脈形成で重要な「また会いたい」と思わせる心理メカニズムについて考察します。

「広い人脈」より「深い人脈」

 出版社に勤務する知人によると、「人脈本」というジャンルがあるそうです。たくさんの人と知り合い、関係を構築するためのノウハウが書かれている。そうした本の著者は、「人脈の達人」と呼ばれ、世界中にネットワークをもち、芸能人や著名経営者と交流するなど、華麗で幅広い人脈を誇っている。そういう話を聞くと、たしかにカッコイイし、なんだか憧れますよね。

 しかし、現実的に考えると、華麗で幅広い人脈を作るには、かなりの手間とコストがかかります。ヘッドハンターのような、人脈の広さが仕事に直結するような職業なら別ですが、一般的なビジネスパーソンの場合、「そこまでして人脈を広げる必要はないよ」という人が多いのではないでしょうか。

 かく言う筆者も、それほど顔が広いほうではありません。年齢を重ねているため、それなりに知り合いは多いですが、人脈を広げる努力などはしていません。年賀状は最小限しか出さないし、SNSは同窓会の連絡にしか使わないし、会合やパーティも年に数回しか参加しない。「人脈の達人」から言わせると、まったくダメダメな人間です(苦笑)。

 ただ、人脈を広げようとは思わないものの、親しい人とより深くつき合おうと意識しています。そうした深いつき合いのおかげで、ビジネスやプライベートでたくさんのメリットを得ています。なにより、人と会うのが楽しくて仕方ありません。そこで、ここでは「広い人脈」ではなく「深い人脈」について考えてみたいと思います。

 フェイスブックが普及し始めたころ、「望ましい友達の数は150人程度だ」という考え方が注目されました。諸説ありますが、個人が無理なく「名前+顔+状況」が把握できる人数は、せいぜい150人程度だそうです。そう考えると、数千人、数万人と友達になるには、かなりの努力を要することになります。というか、まあ、ふつうの人には無理ですよね。

 「友達の友達は、みな友達だ」というフレーズがあります。自分の友達150人に、さらに150人の友達がいるとすると、「友達の友達」は150×150=2万2500人になります。2万2500人と、直接つながるのは大変です。しかし、友達150人とつながるのは、それほどむずかしくありません。150人と深くつき合って、必要な時に友達を紹介してもらう。そのほうが現実的です。