イヤなことは「パターン化」するとよい

 でも、「イヤだから、やらない」なんて、仕事で認められませんよね。管理職として、「やるべきことはやれ!」と指示する必要があります。とはいえ、強く指示するだけでは若い部下がつぶれてしまう危険性があります。そこで、「イヤなことをラクに行うコツ」も一緒に教えてあげてください。それは、「パターン化する」ことです。

 パターン化すると、いちいち考えたり判断したりする必要がなくなり、惰性で行いやすくなります。「惰性で行う」って悪いことに聞こえるかもしれませんが、その分「意志」を使わなくてよくなります。余計なエネルギーを使わずに済むので、疲弊しなくなります。車も惰性をうまく使って走らせると燃費が向上しますよね。

 新任管理職の皆さんは、部下を、そして皆さん自身を疲弊させないために、このことをよく覚えておいてください。「イヤだけど、やらなければならないこと」は、「なるべくパターン化して、惰性で行う」ようにしましょう。

 たしかに、パターン化しやすいことと、そうでないことがあります。残念ながら、パターン化できないことは、「強い意志をもって取り組む」しかありません。でも、「アポイントをとる」というプロセスは、比較的パターン化しやすい行為です。

アポイントなどの承諾率を高める「普遍的なコツ」

 「アポイントをとるプロセスをどうパターン化するか」については、業界ごとに異なりますし、営業の本などでよく解説されていますので、そちらにお任せすることにします。ここでは、アポイントなどの承諾率を高める「普遍的に使えるコツ」を、ご紹介しましょう。それは、「何かを依頼する時には、理由とセットにするとよい」です。

 人は、何かを依頼された時に、その理由が明示されているほうがスムーズに承諾しやすい傾向がある。これについて、ハーバード大学の心理学教授だったエレン・ランガー氏が以下の実験を行っています。

 コピー機の順番待ちをしている人に、実験者が「先にコピーをとらせてほしい」と割り込みを依頼する。その時に、「理由を言うか・言わないか」によって、承諾率にどのような違いがあるか統計をとったところ、以下のような結果が得られました。

  1. 「先にコピーをとらせてもらえませんか?」
    依頼だけを行ったところ、承諾率は60%だった。
  2. 「急いでいるので、先にコピーをとらせてもらえませんか?」
    理由とともに依頼したところ、承諾率は94%だった。
  3. 「コピーをとらなければいけないので、先にコピーをとらせてもらえませんか?」
    それらしい理由とともに依頼したところ、承諾率は93%だった。

 この実験、可笑しいですよね(笑)。「コピーをとらなければいけないので」なんて、割り込みをさせてもらう理由になっていませんよね。でも、なんとなく理由っぽい。これを、「それらしい理由」と言います。

 この結果によって、2つのことがわかりました。

  • 理由があることで、依頼に対する承諾率は上がる。
  • 簡単な依頼の場合、「それらしい理由」をつけるだけでも、承諾率は上がる。

 たとえば、それほど親しくない相手から連絡先を聞き出したいとします。ただ単に「連絡先を教えてもらえませんか?」とお願いするより、「すいません。何かあった時のために、連絡先を教えてもらえませんか?」とお願いしたほうが、スムーズに教えてくれるはずです。落ち着いて考えると、「何かあった時って、何があるんだよ?」ってツッコミたくなりますが、実際の場面では、そのまま承諾してしまいがちになるのです。