一括りにして対立するより、切り崩して巻き込んでしまおう

 ただ、この「敵か味方か」という分類は非常にいい加減で、その場の状況に応じてクルクル変化します。それまでお互いに争っていたのに、共通の敵が出現すると「昨日の敵は今日の友」とばかりに団結してしまう。スポーツでも、国内で激しく争っていた選手たちが、全日本代表として海外に出ると途端に団結しますよね。要するに「括り方次第で、敵にも味方にもなる」わけです。もし宇宙人が攻撃してきたら、現在対立している国や民族も地球人として団結することでしょう。

 職場で異質な人たちを相手にする時に大切なのは、その人たちを一括りにして「敵」と見なさないことです。一人一人をよく見てみると、自分と出身校が同じだったり、ゴルフやサッカーなど趣味が同じだったりする人が必ずいるものです。人は、共通点が見つかると親しみを感じて打ち解けやすくなります。こうして、個別にコミュニケーションをとっていくことで、異質な人たちの集団を切り崩して、自分の味方に巻き込んでしまいましょう。そうすれば、「敵」を減らすことができるし、職場で受けるストレスを軽減させることもできます。

アプローチに効果的な「三点セット」

 異質な人たちにアプローチしていく際には、 「①ギャップトーク ②ぶっちゃけ話 ③親身に話を聞いてあげる」という三点セットを行うと効果的です。

①ギャップトーク
 「敵だ」「怖い」と思っている相手から優しくされると、人はそれを過大に評価してしまう傾向があります。強盗の立てこもり事件などで、人質になった被害者が「犯人は優しくて紳士的でした」などと発言することがあるのはこのためです。相手がこちらを警戒しているからこそ、思い切って優しい言葉をかけることによって、強い印象を与えることができます。

②ぶっちゃけ話
 相手に本音を話させるには、こちらから先に本音を話すのが効果的です。いわゆる「ぶっちゃけ話」ですね。とはいえ、あまり内輪のことをベラベラ話すと、かえって信頼できない人だと思われる恐れがあります。あらかじめ、「この程度までなら、話してもいいかな」という線を決めて、気負わず率直に話をするといいでしょう。

③親身に話を聞いてあげる
 お互いにぶっちゃけ話をしていると、「不満、不愉快、不足、不都合、不便、不安」などが出てきやすくなります。これらは、一度話し始めるとコントロールするのが難しく、ついつい溢れるように話をしてしまうものです。もし、相手が自分の所属している組織や仲間に対して、このような「不満……」を話し始めたらチャンスです。親身になって聞いてあげるようにしましょう。

 現在、MCとして大人気のマツコ・デラックスさんは、この三点セットを上手に活用しているように思います。毒舌キャラの印象とは裏腹に、周囲に対して非常に気遣いをなさる方だとお聞きしています。さらに、「アタシさあ」などと言いながら、ぶっちゃけ話をするのがお得意ですよね。

 そして、相手が話を始めると、今度は適切なコメントを差しはさみながら興味深そうに聞いていきます。「マツコの知らない世界」では、ある分野に非常に詳しい「オタク」の人を相手にして、自在に深い話を聞き出しています。聞くことの専門家である私からしても、素晴らしい技術をおもちだと常々感服して見ています。

 今回は、「異質な人たちと、どう接するか」について考えてきました。次回は、同じ職場で一緒に仕事をしている人たちと、もっと深いコミュニケーションをとるにはどうすればよいのかを考えていきます。この20年ほどでオフィス環境は大きく変化しました。コミュニケーションを深めるという観点からすると、難しい環境になりつつあります。次回は、そうした状況にあることを再認識するとともに、どうすればよいのか考察していきます。

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