ハードワークではなく、ライトワークを

 人口が増加して、マーケットがどんどん拡大する世の中では、今いる場所で目をつぶって頑張っていれば、やがて報われる時がきました。そういう時代に長く生きた人は、このような生き方が身に沁みついています。しかし、これからの時代に「目をつぶって一所懸命に頑張る」のは、かなりリスキーな生き方だと思います。

 これからは、ハードワークよりもライトワークが求められる時代です。ハードワークは、ロボットやAI(人工知能)に任せてしまいましょう(笑)。では、ライトワークとはどのようなものか。簡単に言うと「必要とされる仕事」「目的が明確な仕事」です。

 皆さんは、これまでに「受験」を経験してきたと思います。受験の目的は「合格する」ことです。であるにもかかわらず、「合格ラインを調べずに、100点をとろうとする」「やたらと奇麗なノートを作る」「参考書や問題集の最初から取り掛かる」などをやった経験はありませんか? いずれも、「けっこうやりがち」ですよね(笑)。これらは「そこまで必要ない、合格するという目的を見失った行為」です。受験勉強ならまだいいですが、仕事でこうしたことをやってはいけません。

 日本のホワイトカラーの生産性が上がらない原因は、「そこまで必要ない、目的が不明確な仕事」に懸命に取り組み過ぎることにあります。新任管理職の皆さんは、まず自分自身がライトワークをすること、そして部下にもライトワークをさせることを意識してください。

総括する習慣をつけよう

 ただし、「ライトワークをする・させる」ことを意識しようにも、現実的に何から手をつけたらいいかわかりませんよね。そこで、一つお勧めがあります。それは、「総括する習慣をつける」ことです。打ち合わせや会議を終えた後に、必ず総括する時間をとる。商談を終えた後にも、必ず総括する時間を設けましょう。

 「そこまで必要ない、目的が不明確な仕事」がなぜ生まれるかというと、コミュニケーションに齟齬があるからです。こうした行き違いを防ぐコツが、「同じ事物を見て、どのように把握したかをその場ですり合わせる(=総括する)」ことなのです。

 総括するって、どうやるのかイメージが湧かない人も多いと思います。簡単な方法をご紹介しましょう。打ち合わせや商談を終えた後に、時系列を辿りながら概略を話すのです。打ち合わせの相手が上司やお客様だったら、自分のほうで総括します。相手が部下だったら、部下に総括させましょう。ちょっとした会議や商談なら、時間は2、3分もあれば十分です。

 「人間の記憶は、過去から現在に向かって時系列を辿るようにすると甦りやすい」という特性があります。会議や商談の間に重要だと思うことをメモしておいて、それを見ながら時系列を辿るように総括する。ポイントは、商談や打ち合わせを終えた後にすぐやることです。簡単でいいから、すぐにやる。「後で議事録を見れば(作れば)いいや」というのはNGです。

 実際にこれをやると、「えっ、そんな捉え方をしていたのか?」「あれっ、そこが重要だと思っていたのか!」と驚くことがあると思います。同じ場所にいて、同じ場面に接していても、人はそれぞれ自分に都合のいい勝手な解釈をしています。それを放置しているから、コミュニケーションの齟齬が生まれるのです。

 特に、若くて経験の浅い人は、背景情報に興味をもたず、「自分が具体的に何をすればよいのか」を知りたがる傾向があります。「TO DO」ばかり知ろうとして、「WHY」をスルーしてしまう。これが、「そこまで必要ない、目的が不明確な仕事」の温床になります。「いちいち面倒くさい上司だなぁ」と部下に思われるかもしれませんが、後で必ず感謝されますから、ぜひ総括する習慣をつけてくださいね。

 今回は、明治維新から150年にわたる大きな時代の流れを見ました。次回はここ数十年の時代の流れを見ていきます。特に、新任管理職の皆さんにとって関心のある「マネジメントスタイルの変遷」について詳しく見ていきたいと思います。これからの時代は、かつてのマネジメントスタイルが通用しない世の中になります。そこで、どうすればよいのか考察します。