ライバル企業と取引すると問題がある場合でも、情報を詳しく仕入れておきましょう。交渉が膠着した時などに、雑談するような感じで、さりげなくライバル企業の話題を出します。このような時は、あえて交渉を急がず、わざと時間稼ぎをします。そうしているうちに、「こんなところで、細かい条件にこだわって時間をかけていたら、ますますライバル企業に遅れを取ってしまう」という危機感が芽生えるはずです。

クレーム客は大切にされないことに怒っている

 クレーム対応の時に、相手の話を聞くのもそこそこに、「商品の品質は問題ない」などの理屈を一生懸命に説明し始める人がいます。ところが、相手は一向に納得せず怒りがおさまらない。こういうケースがよく見受けられます。

 実は、クレーム客の多くは、商品やサービスの品質に対して怒っているのではありません。それは、あくまでもきっかけであって、その後の対応で「自分が客として大切に扱われていない」と感じたから怒っているのです。このような場合、相手が感情的になっているうちは、何を言っても聞く耳をもってくれません。余計な理屈を言わず、ただひたすら話を聞いて落ち着くのを待ちましょう。

 「怒り」の感情をもつと、とてもエネルギーを使って消耗します。そのため、長時間怒り続けるのは、実際には難しいものです。怖がらずに、相手の話をひたすら傾聴していれば、必ず怒りはおさまってきます。説明をするのはその後です。

息遣いや姿勢にも気をつける

 「無口な人・気難しい人をしゃべらせるには」の回でお話ししたように、息遣いは場の雰囲気に大きな影響を与えます。クレーム対応や交渉の時には、息を詰めるようにせず、ゆったりとした落ち着いた呼吸を心がけましょう。「心を落ち着かせる」のは難しいものですが、「呼吸を落ち着かせる」のは意識すればできます。本番でスムーズにできるように、常日頃から深呼吸の練習をしておきましょう。

 また、クレーム対応や交渉の時に身体を硬くして身構えてしまうのは得策とは言えません。より緊張感が高まってしまい、相手の視線やちょっとした間が怖くなってしまいます。硬くなりそうな時には、あらかじめ身体を揺さぶってほぐしておきましょう。その際、力を抜こうとして肩を回したりする人がいますが、肩の力を抜くには立ち上がって膝の力を抜いて全身を揺さぶるようにするほうが効果的です。緊張しやすいタイプの人は、ぜひ試してみてください。

方言を使うのも手

 大阪には「どないしまひょ」という言葉があります。標準語の「どうしましょう」に比べて、実に練れていて味わいがあります。相手から厳しいことを言われた時などに、「う~ん、よわりましたなあ。どないしまひょ」という感じで使うと、力が抜ける感じがして雰囲気がやわらぎます。

 標準語は、論理的にやり取りをするには便利ですが、どうしても硬さがあります。一方で、方言には独特の柔らかみがあります。交渉時は双方ともに緊張が高まっていますので、ちょっとした方言を使うことで無用な摩擦を避けることができます。

仲良くなるか、距離を置くか

 相手と親密度を増す努力をする(仲良くなる)ほうがよい場合と、距離を置いたほうがよい場合があります。こちらが無理なお願いをする場合は、なるべく相手と親密になったほうが得策です。そうすれば、「無下に断れなくなる」わけですからね。そのためには、積極的に雑談し、相手の個人的な情報を聞き出して、自分との共通点を見つけていきましょう。同じ出身地だ、同じ趣味をもっている、同じ年頃の子供がいるなどが把握できたら、しめたものです。自分と共通点が多い相手のことは邪険にできなくなります。

 逆に、相手が無理な要求をしてくる場合には、なるべく距離を置くようにしましょう。なるべく雑談にも応じず、個人的な情報は開示しないようにしましょう。

 今回も、最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。次回は、外国人との対話について考えます。ビジネスがグローバル化してきたことから、外国人と対話する機会が多くなってきました。日本人は、すぐに語学力を気にしますが、対話で大切なのは語学力だけではありません。そこで次回は、文化的背景の異なる外国人と対話する際に、語学力以外に気をつけるべきポイントについて考察します。