人間は、自分で問題を見つけると、ついつい解決したくなります。すなわち、上司に問題を見つけさせることで、その解決まで協力してもらえる可能性が高まります。これが、問題を明確にしないで相談することの、もう一つのメリットです。

 また、「××の状況なのですが、どうすればよいでしょうか?」という聞き方をする人がいます。これだと、「望ましい状態」が抜けていますよね。「どうしたいのか」という意思や方向性がまるで感じられません。考えることを放棄して、丸投げしているようなものです。上司からすると「そんなの、お前が考えろ!」と突き放してしまいたくなります。

答えを聞かず、ヒントを聞く

 相談する時は、「答えを聞かず、ヒントを聞く」ようにしましょう。別に難しいことではありません。「どうすればよいでしょうか?」ではなく、「アドバイスをいただけますか?」という聞き方をすればよいだけです。

 「アドバイスがほしい」と言われると、参考になる話をすればよい感じがするので、上司としては気持ちがラクになります。とはいえ、実際にアドバイスを始めると、ついつい熱心に話してしまうものです。最終的には、期待していた以上にたくさんの情報を聞き出すことができるはずです。

 たとえば、セールスパーソンがある企業と取引をしたいけど、うまくいかず攻めあぐねていたとします。そんな時には、「○○社と新規に取引をしたいと考えていて、担当者にアプローチしている。しかし、競合がガッチリと入りこんでいて、先方担当者が当社の商品をなかなか検討しようとしてくれない。アドバイスをいただけますか?」などと相談してみましょう。

 こう聞かれれば、上司としては、1)先方担当者に検討してもらうように促す方法 2)その担当者を見限って、違った方向から攻める方法、 などについてアドバイスしてくれることでしょう。

 また、「競合先がガッチリと入り込んでいるから、当社の商品を検討しようとしない」という状況認識に疑問を示すかもしれません。さらに、もし、その顧客企業に知り合いがいれば、紹介してくれるかもしれません。いずれにせよ、問題点を指摘すると共に、その解決まで協力してくれることと思います。

 なお、上司からアドバイスをもらう時は、必ずメモをとりましょう。相談の回答で出てくる発言は、その時に思いついたことを話しているので、まとまっていないことが多いものです。そのため、聞いた時はわかったような気になるものの、後になって文脈を忘れてしまうと「あれ? なんだったっけ?」ということになりがちです。ですから、必ずメモをとって、ポイントを整理しておくようにしましょう。

上司の能力を称える。存在を称える

 上司に相談したことに動きがあれば、必ず連絡・報告をしましょう。うまく解決できた時は、感謝を伝えるだけでなく、上司を称えましょう。その時に、称えるべきポイントが二つあります。一つは、上司の能力を称えること。もう一つは、上司の存在を称えることです。

 たとえば、上司が指摘した内容が的確であった場合は、「おっしゃる通りでした」などの言葉を使います。これは、上司の能力を称えることになります。一方で、長く苦しいプロジェクトなどでメンタルな相談にのってくれた場合には、「おかげで助かりました」などの言葉を使います。これは、上司の存在を称えることになります。

 上司としては、自分の能力でも存在でも、称えられれば嬉しいものです。人にもよりますが、男性の上司は能力を、女性の上司は存在を称えられると喜ぶ傾向があると言われています。これは、父性と母性で考えるとわかりやすいかもしれませんね。「あなたはすごい」と言われるとお父さんは頑張ります。「あなたがいてくれるから」と言われると、お母さんは頑張れます。

 念のため申し上げますが、これはあくまでも傾向で、すべての男性・女性がそうだと言っているわけではありません。また、「上司は親のようなもの」という古臭い関係式を持ち出そうとしているわけでもありません。どうぞ、誤解のなきようにお願いします。