思春期の子供が親と会話していて、話す気を急になくしてしまうことがあります。親が「もっと勉強してほしい」「もっと将来のことを考えてほしい」ということばかり考えていると、子供と話していてもそれに関する情報しか頭に入ってこなくなります。

 一方、子供のほうには「今の自分自身をわかってもらいたい」という思いがあります。自分そのものをわかってもらいたいと思って話しているのに、親は勉強や将来のことしか興味がない。話していて、そのギャップがわかると、子供は話す気を急になくしてしまうのです。

 「自分の知りたいこと」しか興味・関心・問題意識をもたない。対話が成り立たない原因の多くがここにあります。対話する時には、「相手そのもの」に対して、きちんと興味・関心・問題意識をもつようにしましょう。

「自分の聞いている姿」を意識してみる

 もう一つ、「聞くという行為に対して、興味・関心・問題意識をもつ」ことも大切です。前回もお話ししたように、多くの人は「聞くこと」に対して問題意識をもっておらず、スキルも磨いていません。たとえば、「この人、話すのが上手だなあ」と思うことはあっても、「この人、聞くのが上手だなあ」と思うことは少ないものです。これでは、「聞くこと」に関するお手本が蓄積されません。何事もお手本が蓄積されないと上手にならないので、このような状態を放置したままでは永遠に上達することはありません。

 たとえば、黒柳徹子さんは「徹子の部屋」というトーク番組を40年間続けています。明石家さんまさんは「さんまのまんま」を30年以上続けています。お二人とも大変に「聞くこと」がお上手です。でも「この二人のどこがどのように上手なのでしょうか?」と質問されても、多くの人は答えられません。これは、お二人の聞いている姿を注意して見たことがないからです。

 黒柳徹子さん、明石家さんまさん以外にも、阿川佐和子さん、笑福亭鶴瓶さん、くりいむしちゅーの上田晋也さんなど、現在のテレビ番組は聞き上手な人がたくさん活躍しています。機会があったら、これらの方々が聞いている姿を注意して見てみてください。「ああ、たしかに上手だなあ」と感じる場面がたくさんあると思います。

 最近私がよく観察しているのは上田晋也さんです。バラエティのMCとして大人気の彼は、ゲストが緊張しているうちはやさしい表情でおうむ返しをしながら話を聞いていき、リラックスしてくると毒のあるツッコミを入れるなど、緩急のつけ方が絶品です。

 さらに、対話している時の「自分の聞いている姿」を意識することも大切です。一度、「自分の聞いている姿」をビデオに撮って見てみてください。「あれ? こんな態度で話を聞いていたのか!」と驚かれると思います。中には、「こんな聞き方をされたら、相手は話す気にならないよなあ…」という感想をもつ方もいるでしょう。対話する時は、「自分の話している姿」と同じように「自分の聞いている姿」も意識するようにしましょう。

 今回も、最後までお付き合いいただいてありがとうございました。次回は、 (3)適切な質問をする、(4)積極的に傾聴するの2項目についてご説明いたします。

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