警察の信頼を取り戻す

 ケニアのスラムでは、警察と地域住民との関係を構築し、信頼を回復する取り組みも進めている。地元の暴力や争いを解決するのは本来、警察の仕事だ。しかし、紛争地では警察に対する不信が根深い。警察官は公務員ではあるが、給料が未払いであったり、待遇が悪かったりするため困窮している。なかには地域住民からお金を巻き上げたり、密売に関わったりする者もいる。このため何か起きても、住民は警察に頼ることはなく、通報もしない。

 筆者たちは住民の立場に立って治安を改善するよう警察官に訓練を実施。警察官と住民が交流するワークショップも立ち上げた。次第に、住民たちのなかに、「警察官の中にも信頼できる人間がいる」と考える人が現われ、身近に犯罪が発生した時には警察官に通報するようになった。今では、地域の安全を守る仕組みづくりに、市民と警察官が共同で取り組むようになっている。

 こうした活動を通じて筆者は紛争地の問題解決のスキルを身に着けてきた。そのスキルにはビジネスにも通じるものが数多いと感じている。次回からは、問題解決や交渉を具体的にどのように進めるのか、求められるスキル、危機管理などについて具体的に話をしていきたい。