ある5歳の男の子は、言葉が話せない障害を抱えていた。おもちゃを使ったカウンセリングを施したところ、人形を銃で打ち続ける仕草を繰り返した。さらなるカウンセリングの結果、暴動の際に目の前で父親が射殺されたのを目撃したため、ショックで言葉が話せなくなっていたことが分かった。これを踏まえて、手話の訓練や治療を行うことになった。

絵や粘土などを使って心のケアを行う「アートセラピー」。言葉で気持ちを表現しにくい子どもなどを対象に効果を上げている
絵や粘土などを使って心のケアを行う「アートセラピー」。言葉で気持ちを表現しにくい子どもなどを対象に効果を上げている

 この地域で、コミュニティ内の争いを調停する仕組みも作った。個人間で争いが起こると、「どこで誰と誰が争っている」といった情報が調停人たちに届く。個人間で起きた争いが、互いの民族を巻き込んだ暴動に発展する前に早期解決するのが狙いだ。調停に携わるのは、紛争解決の訓練を施した長老や若者、女性たち。この仕組みは効果を上げており、2008年以降、この地域で暴動は起こっていない。

紛争解決の方法について、ケニアの住民たちに研修する筆者
紛争解決の方法について、ケニアの住民たちに研修する筆者

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