「お客様にしつもん」6つの心構え
実際に、お客様にしつもんをする際に、必ず意識したい心構えがあります。
ポイントは、6つです。
心構え1◎ お客様を幸せにする
「ありがとう」と「売り上げ」は比例します。相手を幸せにするために、自分は商品・サービスを提供する。その結果、「ありがとう」と「売り上げ」をいただく、という思いが大切です。売り手と買い手は向き合って対峙する関係になるよりも、売り手が買い手のすぐそばに立ち、買い手の「困った」をともに解決する、そんなスタンスが理想的です。
心構え2◎ マイナスをなくす、プラスを増やす
人を行動に向かわせる原因は、「マイナスをゼロにしたい」か「ゼロをプラスにしたい」の2つしかない、という心理学の考えがあるそうです。前者は、痛み、苦しみ、つらさ、弱さ、悩みといったマイナスから逃れたい。後者は、喜びや楽しみ、快楽などプラスになることを得たい。つまり夢や願望を叶えたい、ということを意味します。
自分たちが手がけるビジネスは、どんなマイナスをゼロにしていくのか、ゼロをどんなプラスにしていくのか、というふうに「お客様の気持ちをいかに満たすか」について整理すると、より求められるビジネスにしていくことができます。
心構え3◎ 自分らしく、無理をしない
すでに「自分しつもん」を繰り返すことにより、あなた自身の得意分野について自覚ができているはずです。苦手なことを必死にがんばっても、得意な人にはかないません。ならば、自分が得意なことに集中したほうが、高いパフォーマンスを発揮できます。無理な状態は、長続きしません。
商談の際に、買い手が価格や納期などで無理難題を持ちかけてくることがあります。そのような場合も、なぜその価格・納期なのかをあらためて説明し、「納得してもらえなければあきらめる」という勇気を持つことも必要です。
心構え4◎ こだわりポイントを見つける
人はいろいろな判断基準で「買う」決断をします。安さが大切な人もいれば、ブランドにこだわる人、新しさを求める人も。その判断基準はさまざまです。買うか買わないかの基準となる「相手のこだわりポイント」をしつもんによって探ることができれば、相手が買う決断をするのに必要な情報をピンポイントで提供でき、「買う」決断に結びつけられます。
心構え5◎ 顧客の夢を広げる
顧客は自分の想定している価値よりも高いと感じるものを提案されたとき、「買いたい」という行動につながりやすいことがわかっています。
たとえば、たいていの工務店は、現在の家賃を聞き、「いまの家賃と同じぐらいの額を払い続けるとしたら何十年ローンで……」と、現実的なせちがらい提案をしがちです。そこにわくわく感は生まれにくいでしょう。
これらの条件をいったん外して、「新しい家での最高の1日」をイメージしてみるのはどうでしょう。「朝起きたら、窓際で一杯のコーヒーを飲んで、ガレージにはお気に入りのバイクがあって……」と想像するうちに、「こんな家に暮らしたい。そのためならちょっと冒険してみようか」という顧客の思いが高まります。
心構え6◎ 自分ならどんな人から買いたいかをイメージする
営業マンの第一印象が悪いと「今日は買わない」という気持ちになるものです。相手から買うか買わないかは、具体的な話をする前の第一印象でほぼ決まります。そこで、自らがお客さんの立場になり、どんな相手からであれば「買いたい」と思うかを想像しましょう。そのイメージに近づこうとするのも、大切な心構えです。
次回は、いよいよ、お客様に「売る」ための具体的なしつもんを紹介していきます。

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