「部下の力を引き出すしつもん」のコツ

 部下にしつもんをするときに、特に意識したいコツが6つあります。

 いきなり部下に向かって、たくさんしつもんをすると、「面倒くさい上司だ」と思われ、逆効果になりかねません。以下のコツを意識しながら、まずあなたから心を開きましょう。

コツ1◎ しつもんの目的を明確にし、相手の答えを大切に

 しつもんをするときに、「3日後の幹部会議で提案したいので、意見を聞かせてほしい」というふうに、しつもんの目的を明確に伝えます。

 また、せっかくしつもんに答えても何も変化がなければ「答えても何も変わらない」と相手が思うようなり、次第に答えてくれなくなります。部下の答えがどのように活かされていくのか、という道筋を示すことが大切です。

コツ2◎ 相手のためにしつもんする

 しつもんは、相手のためにするものです。相手を傷つけたり、責任を追及したりする問い(例=何でこんなこともできないの? 月曜日までにできるって言ったよね?)をつい発しがちですが、これは自分の溜飲を下げるためにする質問であり、相手にはマイナスの効果しか与えません。

 この問いは、相手のためになっているだろうか? と自分に問いかけてみてください。

コツ3◎「いいね」と受け止める

 部下の答えを聞いたとき、「うーん、それはないな」「ちょっと違うかなぁ」という「ジャッジ」は避けてください。

 しつもんの目的は、部下の考えを引き出すこと。しつもんする側がジャッジをすると、部下は自分の考えではなく、上司が気に入る答えを探し始めます。その時点で発想の広がりがなくなってしまいます。

 上司は、部下のどんな答えもまず「いいね」と受け止めること。自分の意見とは違う、と感じても、その考えを否定せず「どうしてそう考えたの?」と聞いてみましょう。もっと深く考えてほしい、と感じるときは、「その答えを何か別の言葉で言い換えるとしたら?」「○○って何だろうね?」というふうに、部下とともに考えを掘り下げていきます。

コツ4◎ 口よりも耳を使う

 しつもん者のスタンスとしては、口よりも耳を使うことを心がけてください。

 部下との対話では、9割は部下がしゃべり、上司はひたすら傾聴するのが理想の姿です。相手が話し終わるまでしっかりと聞く。相手から答えがなかなか出なくても、せかさずに辛抱強く待つ。沈黙の時間をおそれてはいけません。

コツ5◎「盛り上がりポイント」を見逃さない

 しつもんに対して部下が答えるとき、必ず相手が前に乗り出してくる瞬間があります。自信がある時、そのテーマに関心や興味がある時、その人のプライドが満たされる時などが「前のめりポイント」。その前のめりポイントこそが、部下の個性や才能を生かせるポイントです。うまく仕事に活用しましょう。

コツ6◎「好き嫌い」と「仕事」を分ける

 上司・部下といっても互いに人間ですから、どうしても苦手だということもあるでしょう。しかし、人間的な好き嫌いと仕事の関係は別の話です。そもそも100%同じ価値観の人など存在しないと考えたほうがいい、と僕は思います。

 「部下から嫌われている」という自覚があるなら改善が必要です。どんな人も、嫌いな相手からのしつもんには答えようとはしないからです。

 関係を改善するには、第2回の「しつもんマインド」を読み返し、実践してみてください。

 次回は、日常業務のなかでどんどん部下に投げかけたい「目的別・部下にしつもん」と、部下へのしつもんに関するお悩みに答えていきます。

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