くだらないアイデアから、顧客サービス向上

 それは「この店にはぎっくり腰でやってくるお客様が多く、1回の施術では完全には良くならない。それなのに、エレベーターのところで『さようなら』と送り出していたのは配慮が足りなかった」ということでした。

 「せめて、どうやって帰るのかをうかがって、タクシーを呼び、乗車するところまで付き添い、お見送りをしよう」

 顧客サービスの新発見です。さっそく翌日からスタッフは施術後に「今日はどうやってお帰りになりますか」と聞くようになりました。お客様は細かな気遣いに「ありがとう!」と感謝してくれ、それによって、スタッフのモチベーションが上がり、「お客様のためにできることは何だろう」と、自然に考えるようになるという好循環が生まれました。その後、来客数が増えたのは言うまでもありません。

しつもんには、思考の枠を外す力がある

 自分たちで発見したことは、即、実践へとつながりやすい。もし、しつもんして答える、という課程を経ずに、社長や外部コンサルが指示をしたとしたら、「言われたからやる」という発想からは抜けきれず、同じような効果は出にくいと思います。

 従来にない発想をしたい時には、僕が行った「ばかげた会議」のように、「こうあるべき」という既存の価値観、常識をいったん外して考えることが効果的です。現実のさまざまな制約の中でアイデアを考えても、「予算が……」「人が……」「時間が……」と"できない理由"が目の前に立ち塞がって、新たな発想はなかなか出ないものです。

 しつもんがうまくできるようになると、

・「考えるスイッチを入れる」
・「見えないものが見えて、いますべきことが見つかる」
・「いま必要な答えを導き出せる」

 といったことが、スムーズに実行できるようになります。

 次回は、「しつもんする側」が必ず身につけておきたい「7つのしつもんマインド」についてお話ししましょう。

河田真誠氏の新刊『革新的な会社の質問力』

いい質問をされると、人は自動的にその答えを探そうとして、自分の「内側」にある答えへと導かれていきます。本書では「自分にしつもん」「部下にしつもん」「会議にしつもん」「お客様にしつもん」という4つの場面で、質問力を磨き、活用する方法をわかりやすく解説します。(日経BP社、定価1512円)