人格否定型…修正すべきは「言動」と心得よ

 NGパターンその2は「人格否定型」。佐藤課長のケースでは「仕事に対する意識が甘いんじゃないのか」「だいたいお前は覇気がないんだ」といったところが“人格否定”に当たります。

 人格を否定してはいけない理由は言うまでもありません。とくに相手の性格的な短所、コンプレックスに触れてはいけません。叱る側に悪意はなく、相手のためにアドバイスしたつもりでも、相手にとっては心にナイフを刺されたような痛みがあることもあります。

 私はある研修に参加した30代の方と話していて、「実は10年前、新入社員の頃に、上司から『お前は暗いんだよ!』と言われたのが、今も心に残っています。確かに私も明るくはないので(苦笑)、上司に悪気はなかったのは分かっているんですが、その人のことは今もちょっと苦手なんです」と相談されたことがあります。人格否定、相手のコンプレックスに触れるというのは、それだけの破壊力があります。

 ですから、叱る時は常に、「あなたはOK。しかし、あなたの言動は修正してもらう必要がある」というメッセージを念頭において叱りましょう。

 人格否定はNG。そのことは理解している方が多いと思いますが、NGパターンの1つ目、「自己炎上型」モードに入ってしまうと、自分のコントロールが利かなくなり、無意識に「人格否定型」に連鎖してしまうことがあります。人格否定をしてしまうと、叱った内容が一切伝わらないどころか、人間関係を大きく壊す恐れがあります。くれぐれも注意して下さい。叱るときには「相手の言動」にフォーカスして叱りましょう。

他者比較型…「競争意識」の違いを意識しよう

 NGパターンその3が「他者比較型」です。

 今、多くの会社で上司となっている40代、50代と、20代の部下で価値観が大きく異なるのが「競争意識」です。

 1971年~74年まで第2次ベビーブームに生まれた団塊ジュニアを筆頭とする40代、50代の方は、出生数でいえば同世代が170万~200万人超の中で育ち、「競争が当たり前、競争に勝って1番になることの大切さ」を学んできました。

 一方で、1987年生まれ、つまり今の29歳以下の世代は「週休2日制」「総合的な学習の時間」「学習内容3割減」といった「ゆとり教育」の中で育ち、「競争がないことが望ましい」と教えられてきました。SMAPの「世界で一つだけの花」が大ヒットして、“オンリーワン”が流行語になったのが彼らが高校に入学した2003年です。

 つまり、佐藤課長の「同期の高橋くん、先月は表彰されていたよな。それがお前はこんなことで叱られて。悔しくないのか!?」という言葉は、佐藤課長にとっては叱咤激励のつもりだったとしても、今の若者にとっては「いや、別に悔しくないです。自分は自分なので」「意味分かりません」ということになります。

 もちろん、鈴木さんにとっても「こんなことで叱られる」のは悔しいかもしれませんが、「高橋くんに負けないように頑張れ!!」という激励は意味がありません。

 私が入社2年目研修で接したある若手社員は、1年目の振り返りで「新入社員研修で何かにつけて成績順に比較されて、『上位になれるように頑張れ!』と叱咤されて、やる気を失った。ただ、配属後の上司が『お前がこうなりたいなら、○○をやれ、△△が足りない』と指導してくれる人で、モチベーションが上がった」と話していました。

 周りと比較されることに燃えないどころが、「自分は自分なのに、周りとの比較でしか見てくれない」などと嫌悪感を示す若手も増えています。個人差はありますが、一般的には周囲との競争に勝つことよりも、「自分がなりたい自分」になるために頑張る傾向が強いです。

 逆に、ゆとり教育世代は自分なりの目的意識が持つと粘り強い、高い成長意欲を示すという特徴があります。叱る時にも、本人がなりたい像、例えば、「鈴木くん、来年には一人前になって後輩を指導できるようになりたいって言っていたよな。それなのに自分が遅刻していたら、後輩に指導はできないよね?」のように指導する方が効果的です。