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 「オトコが育児に参加するのが当たり前」の時代に変わりつつある。旬の経営者や学者、プロフェッショナルたちも、自らの育児方針や育休取得についてパブリックに言及することが増えてきた。優秀なリーダーたちは、我が子にどんな教育を与えようとしているのか。また自身はどう育てられたのか。そしてなぜ、育児について語り始めたのか。

 連載22回目に登場するのは、デジタル広告などを手掛けるMomentumの高頭博志CEO(最高経営責任者)。前妻と死別し、シングルファーザーとして幼い一人娘を育てていた高頭氏だが、今では再婚をして妻、娘との3人暮らしだ。苦労を重ねた先に見えた、高頭家の子育て論とは何か。今回はその後編。

Momentum代表取締役 高頭博志(たかとう・ひろし)氏
1989年神奈川県生まれ。慶應義塾大学在学中の2013年に、日本初のクラウドファンディングサービス「READYFOR?」を中心メンバーとして起ち上げる。同年にグリーの新規事業部門へ入社。主に教育関連新規事業の起ち上げや、グリープラットフォーム内の広告媒体設計業務に従事。2014年9月よりMomentum(モメンタム)を創業し、アドテク事業領域のアドベリフィケーション分野で国内で唯一の商品を展開する。取材時、29歳。都内在住。大手外資系メディアの会社に勤める妻、5歳の長女との3人暮らし。2019年春、第二子が産まれる予定。(取材日/2018年11月21日、撮影/鈴木愛子)

娘さんが進む学校に関しては、もう何らかの計画を立てていますか。

高頭氏(以下、高頭):具体的にはまだ決めていませんが、どこかのタイミングで海外留学は経験させてあげたいと思います。

本連載に登場した、気鋭のビジネスリーダーやプロフェッショナルなど10人の子育て論をまとめた『子育て経営学』

 僕自身は留学の経験がなく、事業も今のところドメスティックにやってきたのですが、これからの市場を考えると、明らかに世界に目を向ける必要があります。

 クロスボーダーな力を身につけることは圧倒的な強みになるし、日本以外の国で生活する経験を得ることでアイデンティティーが複数になります。ものごとは何でも2つ以上の経験があって、抽象化して初めて理解することができる。より汎用性のある思考パターンを獲得するためにも、海外生活はメリットが大きいだろうなと考えています。

 まぁ、人生は一度しか生きられないので、どの生き方がベストなのかは誰も決められないですが、親としては「この経験をしておけばよかった」というアンチパターンの学びも子育てに生かすしかないですよね。

将来の仕事選びに関しては、どんなアドバイスをしたいですか。

高頭:好きなことを仕事にしないとダメだぞ、ということは繰り返し言い続けると思います。

 僕が自分の会社をつくったのは、単にお金を稼ぎたいからという動機ではなくて、ITの力で社会課題を解決したいという思いを実現する方法として、起業が一番早かったからなんです。

 妻とは再婚なのですが、娘の母親である前妻は病気で亡くなりました。命のかけがえのなさに触れた経験から、1日1日を精一杯生きないといけないという思いが個人的に強くあるんです。

 だから、好きなことしか仕事にしてはいけない、と娘に伝え続けます。

 今は共感さえ得られたら、マネタイズできる手法は無数にあります。娘が大人になる頃には極端な話、「好きなことさえやっていればお金をもらえる」時代になるとも思います。

 もちろん、最初は苦労するかもしれませんが、最低限の安全を確保するくらいの経済的支援なら親としてできるかもしれません。

 僕の勝手な思いで言ってしまえば、娘には起業家になってほしいと思います。

 仕事は好きなことをするための手段であり、その方法は、自分の好きなことを「やっていいよ」と言ってくれる経営者を探してそこで働くか、自分の会社をつくるか。

 他人の気が変わった時のリスクを考えたら、自分で会社をつくるほうがリスクが小さい。

 好きなことが見つからないまま適当な会社に入るのだけはやめてほしい。それくらいなら「1年くらい世界を回っておいで」というかもしれないですね。