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イクボス育成、自分事にできているか

子育て環境が発展するために欠かせないイクボスの育成ですが、うまくいっている企業の共通点は何でしょう。

川島:前提として言っておきたいことが一つあります。よく、30~40代から「うちの企業はイクボスがいないから全然ダメです」という嘆き声を聞くのですが、環境のせいにしているようでは前進できません。

 答えを相手に求めず、自分主導でやっていく。「部長、どうしたらいいですか」と受け身で指示を待っていても何も変わりません。

 「部長、これでやってみます。僕に任せてくださいませんか」と自分が理想とする働き方を、自分の責任で引き受けて、挑戦する。「他責依存型」から「自責自立型」のワークスタイルに変える意識改革が、若い人たちの間で進むこと。それが、働き方改革全般に必須となる前提条件だと思っています。

 その上で、イクボス成功事例の共通点を挙げると、やはりトップの強いコミットメントがあることですね。それでもうまくいかない時は、管理職層の動機付けが足りていない場合が多い。理由は、働き方改革が“自分事”になっていないからです。

 働き方改革が「子育て中の社員だけのためのもの」という文脈で伝わっていると、子育てが終わっている、あるいは子育てをしていない層にとっては、他人事です。

 そうではなく、管理職層も自分のために不可欠な策として、働き方改革を捉えられるかどうか。将来、定年した途端に居場所を失わないよう、本当はやりたかった趣味の時間を取り戻すために、部下ではなく自分自身のための改革なのだと管理職が腹落ちしなければ、本気になりません。

 改革はキレイゴトでは進みません。今の50代は、生活をおきざりにして仕事に没頭していた人が多い。ですから、生活を尊重するメリットを自分ごととしてなかなかイメージできません。

 ですからイクボス講演では、まず「余暇でやってみたいことを思い出してください」と投げかけることからアプローチすることが多いですね。

 子育てだけを聖域化しない公平感を打ち出すことも大事です。僕は社長時代、「子育てが理由で休むのも、友達と旅行に行くために休むのも、同等に大切。お互いに尊重しよう」と言い続けてきました。

 組織で働く全員が主役になれる働き方改革を進めていくことが、リーダーの役目ではないでしょうか。

本連載に登場した、気鋭のビジネスリーダーやプロフェッショナルなど10人の子育て論をまとめた『子育て経営学』

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