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子育てを通して身に着けた「傾聴」スキル

川島さんご自身は、子育てを通じてどんなことを学んできましたか。

川島:子育ても経営も、自分次第で大きく変わるものだということです。

 学んだ姿勢はやはり聞くこと。子どもの話を聞く、妻の話を聞く、学校の先生やPTAの仲間の話を聞く。仕事では部下の話を聞く。これが一番大事なんだけれど、やはり一番難しい。傾聴するほど子育てや家庭がうまく回るようになって、同じように経営でも、傾聴すればやはり好循環になっていきました。

 もう一つは、信じること。これは“イクボスの極意”としても伝えているのですが、部下の力を信じて、裁量を与えて任せ、「最後は俺が責任を持つ」と言い切る。部下が安心してチャレンジできるよう信じて任せる。そして、本人が決めた道を信じて応援する。

 それは子育てでも全く同じで、息子が高校受験をする時、彼は好きな野球を続けるために、文武両道の高校を志望したんです。塾の先生からは「もっと偏差値が高い学校を狙える」と薦められましたが、本人の意志を尊重しました。

信じて応援する、を実践したわけですね。

川島:その方が、本人がやる気になるんです。「自分の選択に決定権を持つことが、人生の幸福度に左右する」という研究結果を最近見ましたが、まさにそうだと思います。

 逆に「信じない・任せない」姿勢に立つと、マイクロマネージに陥る。業務日誌を毎日びっしり書かせたり、ホウ・レン・ソウ(報告・連絡・相談)を細かく強制したりすると、上司も部下も互いに忙しくなるだけです。

 リーダーの仕事はもっと俯瞰した目で大局を見るべきなのに、細かい管理が仕事になってしまっている人は、結構多いのではないでしょうか。

 子育てにおいても、最近は過保護・過干渉な親が増えているようなので、「もっと子どもの力を信じようぜ」と言いたいですね。

 特に父親が“第2の母親化”している現象は気になります。どちらかが叱っている時には、もう一方が「まあ、そのくらいはいいんだよ」と力を抜くような役割分担をした方がいいと、僕は思いますね。

共働きが増えて、夫婦間のパートナーシップが対等になっている分、役割の同質化が進んでいるのでしょうか。

川島:妻が母性で夫が父性とは限らないし、その逆があってもいい。時期や事案によって入れ替わってもいいと思います。何が正解ということはなくて、スタイルは家庭によってそれぞれ。要は、「うちはどのスタイルで行くか」という方針を夫婦で一緒に考えていくことが大事なんです。時には、子どもの前でその役割を演じることも必要でしょう。

 仕事の商談でも、僕はよく役割分担の戦略を練っていましたよ。お客さんの前で、社長である僕が悪役を引き受けて、営業本部長が「まあ社長、そこまで言わずにこのあたりで」と収めて商談をまとめるとか。

 逆に「僕が土下座するから、君は強気で行ってくれ」と事前に打ち合わせることもありました。ビジネスと同じように、ゴールに向かってどうアプローチするかという視点で、夫婦で子育てについて話し合えると気持ちにゆとりも生まれるはずです。

(後編に続く)

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