「オトコが育児に参加するのが当たり前」の時代に変わりつつある。旬の経営者や学者、プロフェッショナルたちも、自らの育児方針や育休取得についてパブリックに言及することが増えてきた。優秀なリーダーたちは、我が子にどんな教育を与えようとしているのか。また自身はどう育てられたのか。そしてなぜ、育児について語り始めたのか。

 連載18回目に登場するのは、HRコンサルタント、複業研究家として活躍する西村創一朗氏。19歳でパパになった西村氏は「家族で夕食を食べたい」とリクルートキャリアを辞めて独立する。現在は、どのような形で子育てと向き合っているのだろうか、話を聞いた。今回はその後編。

HARES代表取締役、HRコンサルタント
西村創一朗(にしむら・そういちろう)氏

1988年東京都生まれ。首都大学東京卒業後、2011年リクルートキャリアに入社。営業、事業開発を担当し、社内MVPを多数受賞。本業のかたわら、複業支援のための事業をスタートし、2015年HARESを設立。「二兎を追って二兎を得られる世の中を創る」をビジョンに掲げ、個人・企業・政府向けのコンサルティングを行う。プライベートでは19歳で父親となり、在学中の2009年よりNPO法人ファザーリングジャパン最年少理事を務める。2017年9月より経済産業省「我が国産業における人材力強化に向けた研究会」委員。年内に初の著書『複業の教科書』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)が発売予定。取材時、30歳。都内在住。同い年でHARES役員の妻、10歳(小4)の長男、6歳(小1)の次男、2歳の長女との5人暮らし(取材日/2018年9月14日、インタビュー写真/鈴木愛子)

インタビューの前編(「『家族で夕食』のために僕は会社を辞めた」)で西村さんは、サッカーの指導をめぐってご長男を「潰してしまった」苦い経験があるとおっしゃいました。同じサッカー指導でも、ご次男に対するアプローチは違ったものになりましたか。

本連載に登場した、気鋭のビジネスリーダーやプロフェッショナルなど10人の子育て論をまとめた『子育て経営学』

西村氏(以下、西村):全く変えました。次男は「お兄ちゃんがやっているスポーツに興味を持つ」というよくあるパターンで、自分から「サッカーやりたい」と言い出しました。僕は長男の一件から反省して、「期待するのは一切やめよう」と決めました。

 コーチの役割はただ一つ。「上達させること」ではなく、「好きにさせること」。そう考え方を180度変えたんです。

 つまりサッカーを好きにさせてはまらせることだけを考えて、「よくできた!」「すごい!」「うまくなった!」とポジティブワードだけを浴びせています。

 本田圭佑選手もイチロー選手も、はじめは誰かにほめられて、「僕はできるんだ」という自己効力感を持てたから、そのスポーツを好きになり、自発的に練習するようになって、どんどんと上達していったのだと思います。

 つまり「好きこそものの上手なれ」ではなく、「上手こそものの好きなれ」の方がきっと正しい。

 子どもが自己効力感、セルフエフィカシーを育める声がけを意識しています。本人が十分に自己効力感を持ち、かつコーチや周りの選手も成長を期待しているゾーンに入って、初めて「苦手を克服しろ」という指導が効くようになる。

 これは仕事におけるマネジャーの役割とも完全に一致していると感じています。

「できる」が「好き」を育て、「さらにできる」を発展させていく、と。具体的なコミュニケーションのコツを教えてください。