子どもたちにも「役割」を持たせる

沢木:日常の生活から離れて、自然の中で衣食住を経験するので、小さな子どもでも「自分が何かしなきゃ」と役割を意識しやすくなりますよね。
キャンプを始める前から、「それぞれに役割を持たせる」ことは、わが家の子育てで大事にしてきたことでもあったんです。
例えば、「歯磨きの号令をかけるリーダー」とか「靴を並べるリーダー」とか。家庭で生じる作業を細分化して、役割として子どもたちに任せることって、いくらでもできるんですね。3歳の三女は普段は甘えっ子キャラですが、靴そろえリーダーの役割はしっかり務めてくれています。
責任感をもって主体的に行動できる子どもに育てていきたいね、という方針は、自然と妻と一致しています。この「役割を持たせることで人は成長する」という点は、大人が働く会社組織でもまったく同じだなと思っています。
また、キャンプは経営者仲間を含め、ほかの家族と一緒に行くこともよくあります。それがまたいいんですよね。子ども4人の中で固定化された役割が、ほかの家族の子どもたちと交ざることで、いつもと変わります。
いつもは姉として4人をまとめている長女が、自分より年上の子どもと関わって、より成長する姿も見られます。家庭の内外で人と関わりながら社会性を育てる機会は、どんどんつくっていきたいなと思います。
沢木家の子育てにおいて、一番大事にしていることは何ですか。
沢木:やはり自主性と主体性を重んじることでしょうか。自分で責任を持って行動したことが実を結んだり、上達を感じられたりすると、自信がつきますよね。そういう自信を少しずつ育てられるように応援したいなと思っています。
興味や得意分野は、4人それぞれで違いが見られますか。
沢木:違いますね。小学2年生の長女は調べものが好きで、図鑑をずっと眺めていられるタイプ。博物館とかに連れていくと喜びます。次女はより活動的で、周囲とのコミュニケーションが得意。三女や四女のタイプがハッキリと見えてくるのはこれからですが、下の子になるほどたくましく育っていますね。親の目がなかなか行き届かないこともあってか、ちょっとやそっとじゃ泣きません(笑)。
習い事もちょっとずつ違っていて、スイミングは全員共通していますが、そのほかは、長女はピアノ、次女は器械体操、三女は新体操。勉強の通信講座も、長女は進研ゼミの「チャレンジ」ですが、次女は小学館の「ドラゼミ」をやっています。
興味も能力もそれぞれ違うので、「お姉ちゃんもやったんだから」と同じものを押しつけるのではなくて、一人ひとりが得意を伸ばして自信をつけられるものを与えてあげたいと思っています。
教育環境についてはどのように考えていますか。
沢木:うちの場合、夫婦ともに地方の公立校で育ったというバックグラウンドもあるからか、首都圏特有の受験競争は、あまりピンと来ないんです。むしろ中学くらいまでは、地元のやんちゃな同級生と接するくらいの方が、自然なのかなとか。
幼稚園選びも一応、見学はしましたが、大体の方針に納得したので、そこまでこだわらずに、近いところに通わせています。
もちろん外部の環境は大事ですが、それ以上に本人の内的な動機づけや自立心、自信を育てられるような日常の関わり方に、親として力を注いでいきたいなと思っているのかもしれません。
(後編に続く)
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