「オトコが育児に参加するのが当たり前」の時代に変わりつつある。旬の経営者や学者、プロフェッショナルたちも、自らの育児方針や育休取得についてパブリックに言及することが増えてきた。優秀なリーダーたちは、我が子にどんな教育を与えようとしているのか。また自身はどう育てられたのか。そしてなぜ、育児について語り始めたのか。

 連載17回目に登場するのは、置き薬形式で栄養豊富な総菜をオフィスに設置し、働く人の食生活の改善や、子育てや介護などとキャリアとの両立をサポートする「オフィスおかん」を率いる沢木恵太さん。7歳、5歳、3歳、1歳という4人の娘との暮らしでは、どのように子育てと向き合っているのだろうか、話を聞いた。今回はその前編。

おかん代表取締役 沢木恵太(さわき・けいた)氏
1985年長野県生まれ。中央大学卒業後、フランチャイズ支援及び経営コンサルティング業を手がける東証一部上場企業に入社。新規事業開発に携わった後、ベンチャー企業に転じ、ゲームプロデューサー兼事業責任者を務める。教育テクノロジー領域のベンチャー企業の創業に参画した後、2012年末におかんを設立。無添加総菜宅配サービスを個人向けに展開し、2014年より法人向けの簡易設置型社食サービス「オフィスおかん」の提供を開始する。これまでになかった“食の福利厚生サービス”として注目を集め、導入企業は1200社を超えた。2018年8月初めには7億円の増資を発表。取材時、32歳。都内在住。同い年で専業主婦の妻、7歳、5歳、3歳、1歳の四女との6人暮らし(取材日/2018年8月23日、インタビュー写真/鈴木愛子)
本連載に登場した、気鋭のビジネスリーダーやプロフェッショナルなど10人の子育て論をまとめた『子育て経営学』

企業が従業員満足度を高める福利厚生サービスの新たな形として注目される「オフィスおかん」。置き薬形式で栄養豊富な総菜をオフィスに設置し、働く人の食生活の改善や、子育てや介護などとキャリアとの両立をサポートするインフラづくりは急速に支持を集め、直近1年だけで500社以上の導入が決まったとか。運営会社「おかん」という企業名もユニークですね。

沢木氏(以下、沢木):僕自身は長野県出身で母親のことを「おかん」と呼んだことはないのですが(笑)、「おかん」という語感にある家庭的な温かさのある会社を目指していきたい、おかんのように“おせっかい”を企業にも個人にも与え続けられる会社でありたいという思いを込めています。おかんの社長である僕はよく「おかんのおとんです」と自己紹介をしています(笑)。

その沢木さんは、32歳の若さで4人のお子さんのパパなのだとか。しかも、4人とも女の子。

沢木:一番上が小学2年生の7歳で、きれいに2歳違いで4人います。家族で並んで道を歩いていると、それだけで注目されますよ。おかんを起業したのは27歳の時でしたが、次女が産まれたばかりの頃でした。妻は最初に就職したコンサルティング会社の同期で、たまたま生年月日が一緒だったんです。今は専業主婦として子育てを頑張ってくれています。

小さなお子さんが2人いる時期の起業は、かなり思い切ってのことだったのでしょうか。

沢木:社会人になった頃から、「いつかは自分で事業をつくりたい」という思いは持ち続けていました。では何をやろうかと、事業内容について模索していたのですが、コンサルティング会社の後に、ゲームプロデューサーという“非日常の価値”をつくる仕事と、教育業界の事業開発という“日常の価値”をつくる仕事を両方経験したんです。「どっちが長く胆力を持ってやり切れるか」と自問した結果、やはり生活インフラに密着した価値を生み出したいと判断しました。

 そう明確に思えたことと、子どもたちが生まれて父親になったことは深く関わっている気がします。子どもたちが生きていく未来の姿をどうしたいか、という動機づけが強くなり、「働く人のライフスタイルを豊かにする」というミッションにたどり着きました。同時に、事業を通じて子育て世代を応援したいという思いもあります。

その応援の形として展開するのが「食の福利厚生」なのだ、と。