成績がオールAだとほめられない

「得意なことを伸ばそう」という論調とは逆ですね。

伊佐山:今の僕の仕事につながる考え方ですが、失敗のない人生はとても危ないと思っています。僕自身、子どもの頃から最近まで、人よりも失敗の多い人生でした。今はそのすべての経験が、ありとあらゆることに生きています。

 失敗のない人生は、言い換えれば、自分のできることしかやってこなかった人生でもある。たくさん失敗してきたということは、自分の成長や進歩に対して貪欲だったということです。

 子どもたちにも、「失敗しないと成長できないよ」と繰り返し伝えています。男3人は単純で、ポケモンに例えるとすぐに納得するので、「そんなんじゃ、Sキャラになれないよ。進化もできないよ」と言って奮い立たせています(笑)。

 学校の成績でも、オールAを取った時より、少し難しい科目に挑戦して、BやCが混ざっている時にほめるようにしています。「難解な課題に挑戦している証拠だ。頑張っているな」と。「無難にやってオールAを目指すな」と伝えています。

オールAでほめられないとは……。子どもからすると「できないことに挑戦するのは辛い」と弱音を吐きたくなることもあるのではないでしょうか。

伊佐山:挑戦する意義を丁寧に説明するようにしています。

 もちろん、難しいことに向き合うのは苦痛ですし、得意なことをほめられながらやる方が楽しいに決まっている。子どもたちも、「全部やるのは無理。どっちかに絞りたい」と言ってくることがあります。

 その時はできるだけ言葉を尽くします。「パパとママは、君のことをちゃんと見ている。そろそろ絞るタイミングだと思ったらちゃんと言う。難しいことに挑戦するのは、今の君の成長にとって必要なプロセスだ。人生は長い。今は失敗しても、次に向かう忍耐力を付ける時期なんだよ。失敗しても怒らないから挑戦してみよう」と。実際、ある程度のトライを続ける時期を経たら、得意分野に集中できるよう見極めます。大体、高校生くらいからですね。

 失敗ばかりするのは本人も辛いから、そのたびに「どうしたらうまくいくのか。成功確率を上げるには何が必要か」と一緒に考えます。とにかく、やればできないことはないんだよ、というすり込みを繰り返すことが大事ですね。その上で、成功したら周りの人にどんな貢献ができるか、というところまで話すようにしています。