「名もなき家事」の存在に気付いた

仕事面にもプラスの影響はありましたか。

小沼:権限委譲の何たるかを感覚として学べました。育休中は、事業の実務をメンバーに託す一方で、育休中は家庭の家事全般を妻から委譲されました。

 共働きですから、それまでも家事は分担していたつもりでした。けれど、台所の細かい掃除や洗剤の詰め替えといった、いわゆる「名もなき家事」も含めたオールラウンダーにはなりきれていなかった。

 妻は「任せると言ったからには任せる」と、家事の全権を僕に委譲しました。ここで初めて、無意識に妻に任せていたブラックボックスがたくさんあると気付いたのです。「権限を委譲される側」に立つことで、「どういうふうに指示を出されたらやる気になって、行動しやすいのか」という学びを得られたのは大きかったですね。

 僕は、「帽子の付け替え」と言っていますが、普段と違う役割に挑戦すれば、視界がぐんと広がって互いの立場の理解も深まる。子育ては大きな成長機会だと思います。

その経験は、育休復帰後のマネジメントに生かされましたか。

小沼:大いに生かされました。経営者という立場を離れて、父親という帽子を被ったことで、見える世界が広がりました。

 家事をひと通り全部やってみる経験は自信にもつながりました。それまで、家事におけるボスは妻だと思っていましたが、今はダブルフリーランス制で、それぞれのやり方で、全体を達成できる体制にステップアップできた。

 どちらかが病気になった時や将来介護が必要になった時も、慌てないでいられる気がします。

(後編に続く)

 本連載「僕らの子育て」が1冊の本になります。新しい時代を担う若手経営者たちや、様々な業界のプロフェッショナルたちが、どのように「育児」と向き合っているのか。また子育てと仕事(組織運営や人材育成)との関係は――。

子育て経営学』は絶賛、予約受付中です。