ただ元気で無邪気に毎日を楽しんで過ごしてもらいたい

親が想像できる未来から逆算して、あれもこれもと与えるのは、かえって子どものためにはならないという考えですね。今の子どもは習い事をこなすだけでも忙しいと言われています。

中野:過干渉にならないように気を付けています。僕はすごい田舎育ちで、家の周りには山と川と田んぼしかなかった。コンビニもなくて、駄菓子屋だけ。毎日泥だらけでケガだらけで、うがいなんて、大学生になるまでしたことありませんでしたが、体は丈夫です。

 習い事は習字か剣道くらいしか選択肢がなくて、中学受験という発想すらなし。そうやって生きてきたので、正直、ピンとこないんです。「塾、習い事、そんなんいる?」と思ってしまいます。自宅がある兵庫の都市部は結構、教育熱が高いのですが強制してやらせようとはしていません。

中学、高校と今後の教育についてはいかがですか。

中野:高校くらいから海外で学ぶ経験をさせられたらいいなぁとは、漠然と考えています。親から離れて生活させたいですね。高校生なら最低限の生活資金さえあれば自分で生きていけるはずですから。

 それもまだ先のことで、今の時点では、ただ元気で無邪気に毎日を楽しんで過ごしてもらえたらいいと思います。うちの子たち、やたら声がでかくてうるさいくらい元気がいいです。最近、西宮に引っ越したら、随分おとなしめのお子さんが多くて。「わははは!!」と目立つ笑い声出して、浮いてますね(笑)。

のびのびと育てる方針なんですね。逆に「これをやったら叱る」という禁止ルールはありますか。

中野:人に迷惑をかける行為はもちろんダメですし、人を見下す態度をとったら厳しく叱ります。経営者の子どもですから、その辺は勘違いさせないようにしないといけません。経営者にしたって、経営者だから偉いわけでもないし、ましてその子どもは何の関係もない。ちょっとでも子どもたちが得意気な言動を見せたら「お前、関係ないだろう」と言っています。

10歳くらいから投資を経験させたい

お子さんたちは、お父さんのお仕事内容を理解していますか。

中野:大体分かっていると思います。夫婦でずっと話していますし、会社でも年2回、家族参加型イベントを開催していて、バーベキューやクリスマスパーティーに連れて来ています。社員とも家族ぐるみの付き合いをしているんで。

 今度、沖縄の宮古島で、僕と役員数人の家族と一緒に仕事兼レジャーに行く予定もあります。参加できないメンバーもオンラインでつなげて、「経営会議イン宮古島」もできそうですね。

 そういう環境なので、子どもたちも自然と僕らの事業内容に興味を持つみたいで、「パパ、(主幹サービスの)OfferBoxの登録、何人になった?」としょっちゅう聞いてきます。「9万人超えた」「へぇ、すごいな」「9万人やぞ、9万人! そんな大人数、見たことあるか?」と盛り上がります。特に息子は僕の仕事に興味津々のようです。「何で息子に進捗確認されないかんねん」って思いますけど(笑)。あと、その延長からか、お金に対しても興味を持っていますね。

金銭教育についてはどんな方針でしょうか。

中野:お金の仕組みについては、早めに学べる機会を持たせたいですね。10歳くらいになったら、ちょっと株でもやらせてみようかと思います。現金を掛けなくても、実際の株価と連動する投資シミュレーションゲームでいいので、やらせてみて、株価に連動して小遣いの額を決めるとか。

 要は、お金の仕組みそのものに興味を持ってほしい。「なんで株価は上下するのか」と好奇心がわいたら、「数字の先にお客さんという人がいてな……」と教えることもできますからね。すると、仕事に対する理解にもつながっていくでしょうし。

なるほど。何を学ぶにも、まずは好奇心が大事。だから今は、好奇心を集中的に養成する期間なんですね。

中野:そうですね。好奇心がしっかりとベースにあれば、環境がどう変化しようと、どんな問題が降りかかってこようと、面白がって人生を切り開けるんじゃないかと思います。

 お金は結局、価値の集合体を数値化しただけのものなので、価値をつくらないとお金は増えない。価値を増やすには、誰かに喜んでもらえることをしないといけない。人に喜ばれることをしたら、自然とお金はたまっていく。そういう本質的な構造を知っておけば、短期的にお金に振り回されることもないだろうと思います。

 子どもにはやっぱり幸せになってほしいですし、何をもって幸せなのかと言えば、単純に「笑っている時間が長い」生き方ができればいいのかな、と。では、どういう時が一番いい笑顔になれるかと考えたら、「自分で考えて行動したことが誰かの笑顔につながっている」と感じられた時じゃないかと思うんです。

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