スマホもルンバもアレクサもどんどん取り入れる
――微笑ましいやりとりですね。ITデバイスをお子さんに使わせることに抵抗はありますか。
中野:全くないですね。むしろ絶対に使わせるべきでしょう。スマホやタブレットになじんでこなかった世代が否定したところで、時代に逆行するだけ。靴を履く時代になっているのに、「足裏を鍛えるために、草鞋を履くべき!」と言って回るようなものです。
うちでもルンバしかり、アレクサしかり、電子機器はどんどん取り入れるようにしています。使いこなせない方が危ない時代になる。ITデバイスに使われるのではなく、使いこなす人間に育てないといけないと思います。そのうち、スマホすらなくなると言われていますが、少なくとも「新しい道具に積極的にトライする」という感覚は持たせるようにしたいですね。

子どもを過保護にせず、ほどよく距離を保つ
――お子さんに対して、「こういうふうに育てていこう」と夫婦で話している方針はありますか。
中野:改まって話し合ったことはないのですが、僕が大事にしたいことは3つあります。
1つ目は「何があっても変わらず君たちを好きでいますよ」と伝え続けて、子どもにとっての安全基地のような存在でありたいということ。子どもたちはすぐ「パパ、嫌い!」とか言ってきますが、「別に君がどう思おうと勝手だけど、俺は好きだから」と返します。かといって、ベタベタはしない。
2つ目は「子どもたちを過保護にせず、ほどよく距離を保つ」という姿勢も大事にしたいということ。親は確かに保護者としての責任は持つけれど、子どもの人生は子どものもの。あれこれと手を貸しすぎるのは成長の妨げになると思っていますし、そもそも子どもは頭がいい。大人が信頼して任せる姿勢を示したら、子どもは自分でしっかりと決められるはずです。
――未熟者扱いをしたり、先回りして守りすぎたりせず、一人の人間として対等に尊重していきたいということですね。
中野:基本的にそういうスタンスでやっていますね。だから、きょうだいゲンカが起きて「パパ、何とかして!」と言ってきたとしても、一切関与しません。「それは二人の問題やろ。俺には全く関係ない」とハッキリと言います。
一方で、本当に困った時にシェルターとしての役割は果たしたいので、「パパは何でもできるんだぞ」としょっちゅう言っています。「じゃ、やってみせて」と言われても、「今はその気がない」とはぐらかしますけどね(笑)。
要は、親自身が自分の問題を真正面から考えて解決する姿勢を時々見せることが大事で、子どもは自然と参照して、行動していくだろうと思うんです。何でもやってあげて、「こうしなさい」と言うだけでは身につかない。
――子育て方針の3つ目は何でしょうか。
中野:好奇心を育てることです。子どもたちには3歳くらいから「好奇心を持て」と繰り返し言い続けています。何かができるようになったという達成に関しては、僕は単に成長度合いでしかないと思うので、いちいち褒めません。
代わりに褒めるのは、「なんでこうなっているんだろう?」という好奇心を持って行動できた時です。ものごとの構造に興味を持って、自分なりに考えて、次の一歩を自分から踏み出せた時は、すごく褒める。「○○ができるようになったよ!」と言ってきた時には「なんでそれをやろうと思ったのか?」と「Why」の部分を聞くようにしています。
(後編に続く)
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