「今日は絶対に遊ばなあかん」「聞いてない」

――奥さんとは前職で一緒だったということで、仕事観も理解している関係なのでしょうか。
中野:そうですね。前職では同じ部署の同じ営業職で、仕事で何を大事にしているのかは互いによく分かっていると思います。家でも会社でもずっと飽きずに仕事の話ばかり。二人ともお酒が好きなんですが、飲んでもしらふでも仕事の話をしています。公私の境界はほとんどありません。
――平日と休日の育児の関わりはどのようにしていますか。
中野:兵庫にいる平日は、朝は、子どもたちは7時半に家を出て、僕は帰りが夜12時回ることも多い。ですから、あまりゆっくりと顔を合わせられません。朝は6時すぎには子どもが起きるので「朝くらい相手してよ〜!」と激しく起こされて、仕方なく起床。「宿題の音読するから、聞いて」と言われ、聞いているふりしながら、筋トレしています(笑)。そしたら、子どもたちも横で一緒になって腹筋したりしていますね。
休日は子どもたちが起きる時間よりも早くテニスをしに出かけて、帰ってくるのが朝の10時くらい。そこから子どもたちとの交渉が始まります。「今日は絶対に遊ばなあかん」「聞いてない」「いや、約束した! 3時間は絶対遊ぶ」「3時間は無理。20分やわ」みたいなやりとりを毎週のように(笑)。
大体、1時間くらいで決着しますが、何して遊ぶかも交渉で決めます。娘は「リカちゃんで遊びたい」と言ってきますが、「40歳のおっさんがリカちゃん遊びはほんまに危ないからやらん!」と突っぱねます。子どもの要望に嫌々合わせることはしなくて、無理なことは無理とハッキリ言うんです。
でも、子どもたちもかなりしつこく交渉してきますから、たまに折れますね。
――成長企業の経営者であってもわが子の交渉にはつい負けてしまう、と。どういう遊びに落ち着くことが多いんですか。
中野:上の子は工作遊びが好きなので、段ボールでいろいろと作っています。最近つくったのは、ボタンを押したら缶ジュースが出てくる構造の自動販売機などでしょうか。
誰かの作品を娘が「YouTube」で見ていたんで、「パパもつくれるで」と言って、1時間半くらいかけて。こういうのをたまにやると、リスペクトが稼げます。「これつくったから、当分は無理やで」と。
下の子はマージャンや将棋が好きなので、一緒にやることが多いですね。マージャンは家族揃って好きで、親戚が集まると必ずと言っていいほど雀卓を囲むんです。
僕、仕事とテニスとマージャンが趣味なんですが、どちらも似ているものだと思っていて。「未来を予測できない状況に対して、リスクを取って一歩進める」という共通点がある。状況把握と努力を積み重ねて、最後の最後はエイヤ!と思い切るしかない。1対1の将棋より、1対nの構造のマージャンの方が、よりビジネスに近いなと思ったりしています。
子どもとの遊びに関しては、できるだけ友達家族と一緒に遊ぶようにもしていますね。家の中だけだと飽きますし、たくさんの人と会わせながら育てたいという気持ちがあるので。

――東京滞在が続く時は電話をしたりするのでしょうか。
中野:電話はあまりしませんが、キッズ携帯から時々、メールが来ます。謎のスタンプ連打とか、意味不明のものが多いですけど。兵庫に帰る予定の日には、「なんじなんぷんにかえってくる?」と何回も送られてきます。
「パパは束縛されるのが一番嫌いなんや」と言ってまじめに答えていません。後は、「めがねが大きすぎる」とか「クルマを置きっぱなしにするな」とか、子どもたちからは苦情ばかりです(笑)。
かと思えば、僕がちょっと入院した時に、娘が手紙を書いてきて。うれしいこと書いてくれるなぁと感動していたら、その後ずーっと「あの手紙、どこに保管してる? ちゃんと大事にとってんの?」ってチェックしてきます。「だから、束縛と監視はするな!」と言ってるんですが(笑)。


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